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3. 必要な情報機器

実際にLANを構築する際に、必要となる機器について述べる。

(1)LANケーブル
LANケーブルは、LANにパソコンやプリンタ等の機器をつなぐ時に使用するケーブルである。これまでは「100BASE-TX」と呼ばれる通信速度が100Mbpsのものが一般的であったが、最近では1Gbpsに対応した「1000BASE-T」も通常的に利用されている。
「100BASE-TX」、「1000BASE-T」は互換性のあるものが多く、同じLAN内で混在できる。最大伝送距離は100mまでなので、現場事務所内であれば問題無く利用できる。
LANケーブルには対応する通信速度に応じた種別が存在する。カテゴリ5,5e,6,6e,7に分類される。上位のカテゴリは下位のカテゴリを兼ねる(上位互換)事ができ、100Mbpsに対応しているのは5以上で1Gbps対応は5e以上となる。最も普及しているケーブルは5eである。1Gbpsに対応した機器が一般的になりつつあるので、5eか6のケーブルを利用する事が望ましい。6e,7は10gbps対応で通常の現場事務所で利用する必要性は無い。

(2)パソコン
パソコンに付いているLANアダプタにLANケーブルを接続する。LANアダプタは一般的に「NIC」「LANボード」「LANカード」などとも呼ばれる。現場事務所で利用するようなビジネス向けパソコンは、LANアダプタは標準で内蔵もしくは外部オプションとして用意されている機種がほとんどである。また、上述の「1000BASE-T」に対応した機器が一般的となっている。

(3)ハブ(HUB)
ハブとは、各情報機器に接続されたケーブルを集約する装置のこと。ハブ同士を接続して、機器の台数を増やすことも可能で、これをカスケード接続という。カスケード接続では、ネットワークの端から端までは、通常は3~4段階程度まで接続が可能。
100BASE-TX及び、1000BASE-Tに対応した機器が一般的である。

(4)物理ファイルサーバー
図面保管などのためにファイルサーバーを作業所に設置する場合は、ネットワーク接続ストレージ型(NAS)を利用するのが一般的になっている。これらの機器の内、ウィルス対策ソフトをインストールすることができない機種の場合は外部パソコンから定期的にウィルススキャンする等の対策が必要である。
また、標準ではバックアップ装置も無いので、導入する際には同じ機種を2台購入し、1台をバックアップ専用にして運用するか、多少高価であるが、内蔵ハードディスクを複数持ち、冗長機能(RAID1やRAID5)を持つ機種を選択する。なお、作業所では一般の事務所よりも盗難の危険性が高いので、データの暗号化に対応した機種を選択し、情報漏洩対策を行うことが望ましい。

(5)クラウド型ファイルサーバー
上記の物理ファイルサーバーに対し、主流となり始めているのがクラウド型のファイルサーバー(サービス)である。データのバックアップ、暗号化及び情報漏洩防止などのデータ保全のために導入するケースが最近は増加している。利用する場合は、SLA(サービス品質保証)の有無や当該サービス内容を確認する必要がある。

(6)プリンタ(複合機)
プリンタもパソコンと同様、LANアダプタが標準搭載もしくはオプションで用意されている機種がほとんどである。無線対応可能な機種もあり、モバイル端末やスマートフォンから直接プリントが可能な機種もある。
 最近ではプリンタ機能以外に、FAX、コピー、スキャナが1つになった複合機を導入する現場事務所が一般的となっている。

(7)ルータ
ルータは、ネットワーク上を流れるデータを、他のネットワークに中継するための機器で、現場事務所では外部(インターネット、本支店ネットワーク等)への接続、または現場事務所内でセグメントを分ける場合に利用する。
ルータは色々な製品が市販されているが、業務として利用する場合は、セキュリティの面で最低でも以下の機能を利用することが望ましい。

  • LAN側IPアドレスの隠蔽(NAT)
  • インターネットからルータへの直接接続を拒否
  • パケットのフィルタリング

また、最近では携帯電話、スマートフォンを利用したデータ通信速度が向上し、有線回線ではなく、無線回線を利用できるモバイルルータも販売されている。携帯は利用できるが、有線回線の引き込み工事が困難な現場事務所では有効な選択肢となる。スマートフォンのデザリング機能の活用も有効である。

(8)無線LAN
無線LANは、配線の手間が不要で、事務所レイアウトの変更が容易に行えるため、急速に普及が進んできている。しかし電波によって通信が行われるという特性上、第三者から通信内容を傍受される危険性がある。そのため様々なセキュリティ対策が施された製品が販売されているが、導入する機器や設定によっては危険性が高くなることと、費用面や運用管理の問題により、企業内では利用を禁止している会社もある。利用する場合は、以下のセキュリティ機能を利用する事が望ましい。

  • SSID非表示機能(any接続拒否)
  • WPA2-PSK以上の暗号
  • MACアドレスフィルタリング
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