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建設IT読本2016

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2. 情報化施工に利用する技術の紹介

(1)トータルステーション(TS:Total Station)
TS(トータルステーション)とは測量の基本要素である角度と距離を同時に計測する測量機器のこと。角度を計測するセオドライト(トランシット)と距離を計測する測量儀(光波距離計)を組み合わせた観測により得られた角度と距離から、新点の平面的な位置を求める。計測データを通信により受渡しする「自動追尾型」の場合、1人でも測量できるため作業効率がさらに上がる。

(2)GNSS(Global Navigation Satellite System)
GPS(Global Positioning System)やGLONASS(Global Navigation Satellite System)など衛星を利用した測位手法のこと。情報化施工では、既知点のGNSSデータと移動しながら取得したGNSS データを、実時間(リアルタイム)で測位するRTK-GNSSという手法をよく利用する。

(3)レーザースキャナ
レーザー光線によって距離を計測し、面のデータを点の座標の集まりで取得する機器のこと。

(4)3次元デジタルデータ(情報化施工のソフト)の活用
3次元CADデータを活用して、測量計算機能や、土量計算機能などを一体化させることで、施工前現場の状況(現況の座標や形状)と設計図面データを重ね合わせることができる。それにより、工期の短縮(コスト削減)と品質の高い信頼性のある施工が実現し、高い評価を得ることができる。

(5)地理空間情報の活用
建設現場は、地理空間情報(「空間上の特定の地点または区域の位置を示す情報」と定義されている。つまり、位置情報(時刻情報を含む)に関連づけられた様々な情報のこと)を用いたMC(マシンコントロール)やMG(マシンガイダンス)などの情報化施工で導入が進んでいる。MCにより、施工のための測量や丁張設置、さらには施工中の品質管理や施工後の出来形管理が省略でき、MCではバックホウなどの操作をオペレータにガイドすることができる。3次元空間の高度な地理空間情報を取得することにより、今後さらなる高精度な情報化施工が広がり、建設現場の省力化につなげることができる。
将来的には、地理空間情報において、複数の情報が地図上に仮想的に一元化されると思われる。また、衛星測位技術がさらに高度化されれば、Apple社のiPhoneなどのカメラ付きスマートフォン端末で、撮影した景色に様々な情報、例えば、肉眼では確認できない地下埋設物の情報や各種台帳、3次元設計図面などを重ねあわせることも可能になる。さらには、施工物の3次元スキャン化などの技術により、近い将来、建設現場からトランシットやレベルといった測量機器がなくなる日が来るかもしれない。

図2-1 マシンコントロール(MC)
図2-1 マシンコントロール(MC)
出所:国土交通省中部地方整備局建設ICT導入研究会より抜粋
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