[シリーズ・東建この人A]環境部会長 戸 章氏

■ 東建月報2011年6月号掲載


ワイガヤで議論し、会計誌上セミナーをロングラン

平成12年6月に前身の財務会計研究委員会が設立されて以来、副委員長を務めてきた中心メンバーで、現在の総務委員会財務会計部会長には平成16年 5月から就いた。かれこれ10年以上にわたり、会計ビッグバンから減損会計、さらに新会社法施行、国際会計基準(IFRS)導入とグローバル化へ激変す る建設業会計制度の最前線で、一身に活動してきた。

部会は「ワイガヤ」だという。「大手、準大手、中堅の会員会社、会計士の先生、建設コンサルタントの方、といろんな立場の財務会計の担当者が集ま り、情報交換しながら、テーマを選び、ワイワイガヤガヤと意見を交わす場になっている」と語る。バランス良く、様々な目線で議論できるところが「この部会のいいところ」とにっこり。

『東建月報』でも、役立つと評判の「会計誌上セミナー」は、平成22年度は「中小企業における工事進行基準の適用について」(12月号)と「経営事項 審査等の改正点の解説」(4月号)を掲載し、これまで32本のセミナーを載せて解説してきたロングランだ。「あまり各論に入らず、ポイントを誰にでも 分かりやすく」を心掛けているが、原稿は部会メンバーがお互いに手を入れ、真剣にチェックするから、原文が跡形もなく校正されることも、しばし ば。1 つのテーマに「2 、3ヶ月かかり、本当に出すべきもの、出したほうがいいものを厳選する」という内容が信頼を得て、評判となる妙味なのかもし れない。

今年度のテーマは決まりましたか? と聞いてみる。

「国際会計基準の導入が強制か任意か、2012年に金融庁が決定する予定なので、やはり最大の関心事となろう。特に2011年に予定されている米国の導入判断が日本当局の今後の意思決定に大きく影響すると考えているので注目しているが、どう決まるか読みかねている。できるだけ情報収集に努めているが、会社としてどこまで準備すべきか、自分の会社にとってどうなるのか、ムダな対応や投資にならないようにするにはどうすべきか、現時点では、あまりにも情報が少なくそれらの判断は困難な状況だ。憶測や想像で発信すれば混乱を招くので、しっかりした確証の取れる内容にするのが難しい」と、思案中のようだ。

ご出身は山口県。昭和55年九州大学経済学部を卒業し、清水建設に入社した。「忙しい現場が楽しそうで、金融機関などお金を扱う仕事には入るまい」 と思い、同社一本で就活。入社して横浜支店で、土木と建築の現場をそれぞれ経験してから、支店経理に従事し、昭和63年8月から本社経理部へ。それ以来、本社経理畑一筋で、就活時に回避した、お金を扱う仕事のプロフェッションに。「こんなはずじゃなかった」と言うが、会計ビッグバンに始まるグローバル化の激変とその対応が、他の部署への異動を許さなかったのであろう。経理部長には平成18年6月に就き、現在に至る。

その役職にふさわしく、クールな理論家に見えるが、「自分では直感的な人間だと分かっているから、逆に情緒を戒め、理詰めで考えるようにしてい る」という。

財務会計部会の皆さん
副部会長岩瀬俊広鹿島建設
委   員宮野英則オリエンタル白石(株)
 伊藤忠成安藤建設(株)
 大竹正己前田建設工業(株)
 木下 昌木下公認会計士事務所
 堀内啓介(株)建設経営サービス

趣味に話を向けると、その「理詰め」がとたんに崩れる。娘さんがマンション暮らしの都合で飼えないからと置いていったミニチュアダックスフンド (ブラック&タン)の「モカちゃん」にもうメロメロなのだ。それまで触るのもいやだった犬が、育ててみると、「もう流し目が可愛くて、毎晩一緒に寝ています。今朝も4時半に起き、庭で遊んでから出社。2週間に1回は病院につれて、耳そうじ、爪切り、お尻そうじは欠かせません」とか。休日はゴル フの練習時間も惜しみ、もっぱらモカちゃんとデート。その練習不足がたたり、スコアは「100を切るのがやっと、だから趣味はゴルフと書かないで」と。

千葉県佐倉市在住。昭和32年10月1 日生まれ、53歳。