松永竜太氏

松永竜太氏

東京都は2月16日、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致に向けて開催計画を発表した。前回の招致活動をブラッシュアップし、国民の 65. 7%賛成という高い支持率を背景に、「長年の夢」への実現に向けて動き出した。ローザンヌのIOC 事務局に計画を届け出た松永竜太東京都スポーツ振興局招 致推進部長に、招致活動の今後を聞いた。

――今回の計画の、大きなポイントは?

「最大のポイントは、選手村を晴海に設定し、40haのゆったりした敷地を確保できたということ。前回計画の有明案では31haで、IOC が視察した際に、狭い のではないか、という感想も出ていた。広い敷地にして、ジョギングコースやくつろいでもらえる施設がゆとりをもって整備できるようになった。選手本意のオ リンピックができ、しかも選手村から8 q圏内に会場が設営され、どこの会場にもスムーズに移動できるのが利点となっている。2 つ目は、オリンピックスタ ジアムとなる国立競技場については、国での建替計画があり、都の財政上、その1000億円と言われる整備費が節減されることがあげられる」

――国立競技場は、前回の東京オリンピックのスタジアムであり、そのメモリアルの再現という意味でも意義深いと思います。ニッポン復活というメッセージも 込めていますが、やはり東日本大震災復興を考えてのことですね

「そう、様々な共通のゴールに向かって日本が一丸となり、困難を乗り越えて長期的目標を達成する力を与えてくれる、と申請ファイルに記しているが、招致 委員会の認識としてオールジャパンということが強くあった。開催される2020年は今から8 年後で、震災復興を成し遂げている時期に当たり、その姿を世界に アピールできる機会になるだろうという考えもある」

――宮城県でもサッカーの予選を開催する計画ですが

「本当はもっと被災地での開催計画を立てたかったのだが。オリンピックは都市が主催するものであり、主催都市から50q離れたところで開催するには、分 村し、もう一つ選手村を設けなければならない。サッカーだけはその例外となっているので、宮城スタジアムで開催することにした。もちろん聖火リレーのコー スでは被災地から聖火をつなぎ、協力をあおぐことにしている」

――東京だけにできるということは?

「世界的な大都市でありながら、その真ん中で開催できることであろう。大都市の場合、郊外をオリンピック会場にするという郊外型が多いのだが、東京は、先 だっての東京マラソンでも、都心ながら7時間交通規制して大会を開催した実績がある。それが可能なのは世界一の治安があるからだ。宿泊施設を完備し、賑 わいもあり、インフラも整備されている。開催の期間は夏休みに当たり、渋滞やラッシュも解消されている」

――今後のスケジュールは

「現在名乗りを挙げている5都市から今年5月には、立候補都市が確定する。立候補都市は、来年1月までに立候補ファイルを提出しなければならないか ら、それが大きな仕事になる。2月から4月にかけIOC 評価委員会が現地視察し、6月に同委が報告書を発表。9月に行われるブエノスアイレスのIOC総会で決定する」

――勝算はいかがですか

「前回が惜敗で、今回はその土台をブラッシュアップし、国からの支援体制もある。これからは支持率は80%、悪くとも70%台に高めていきたい」

――建設業界に対して一言

「オールジャパンの一員として、いろいろ協力をお願いしたい」

●インタビューを終えて
東京の優位性はいくつかある。前回2 回目の投票で、東京を破ったマドリードは、欧州経済危機を抱えているほか、パリの動向がある。2024年大会が100年ぶりというパリが立候補 を期して、2020年の欧州開催を嫌うのではという見方だ。そうするとアジア勢の東京、ドーハが有利だが、ドーハは前回1 次選考で落選している。経済成長著しいバクーも前回落選 組で、暑さのため10月開催の計画に難あり。となると、本命は……。