8年後の2020年夏季五輪に照準を合わせ、都内自治体による東京招致に向けた取り組みが始まっている。実現すれば、低迷が続く日本経済活性化の起爆剤となるほか、東日本大震災から立ち上がった日本の姿を世界に発信する絶好の機会となるだけに、競技場周辺の環境整備の検討や気運醸成に向けた活動が本格化しつつある。

特別区長会、東京都市長会、東京都町村会は、昨年11月に東京開催を実現すべきとする決議を連名で採択した。このうち、区長会は、2020年オリンピック・ パラリンピック招致に向けた招致活動のため、各区に1000万円を上限とする活動費の配分を決定。8月末を期限に23区から受理した事業計画では、アスリートを招いた講演会、バスへのラッピング、工事現場の仮囲いへの装飾などによるPR活動などが提案されているという。市長会と町村会も同様に活動費の助成を決定。両団体は国体と全国障害者スポーツ大会を1つ の祭典として開催する「スポーツ祭東京2013」と五輪招致の気運醸成を使途に、500万円を上限に9月末まで事業計画を受け付けている。

晴海地区に選手村が計画されている東京都中央区は、区政運営の指針となる基本計画の改定に当たり、東京招致を好機と捉え、同地区のほか、勝どき、築地 などの周辺地区について、今後、将来のまちづくりや交通計画の方向性を明示していく考え。

多くの競技場が集まる江東区は、五輪開催に合わせた競技場周辺の環境整備や区道整備などの検討を独自に始めている。都の招致委員会がまとめた会場プラン によれば、区内では全28競技のうち、16競技が開催される。全35競技場のうち新設7施設を含む17競技場が区内であるため、開催した場合には事実上の中心地となるという。環境整備などの検討に加え、9月議会に気運醸成に向けたグッズの作成・配布やイベントの開催などに伴う1000万円の補正予算も計上。このほか、まちづくりの観点から、招致決定を機に、現在、 検討中の地下鉄8号線(豊洲〜住吉)の延伸計画が具体化することも期待している。

熱狂の銀座パレード、東京招致の風向き変える

ロンドン五輪での日本選手の大活躍は、2020年五輪の東京招致ムードを一気に高めることにもなった。東京オリンピック・パラリンピック招致委員会が8月20日に東京・銀座で行ったロンドン五輪日本代表選手団のパレードには、沿道に50万人以上が詰めかけ、熱狂的なイベントとなった。このパレードで、招致委員会はPR用のバスを運行、ロゴ入りうちわ2万枚を配布した。IOC調査での東京開催支持率は47%となっているが、来年1月から2月に実施される調査では「75%以上にしたい」という招致委員会。東京五輪に向け、ロンドン五輪人気で変わった風向きをどう生かすか、勝負の1年となってきた。