10月1日、東京駅丸の内駅舎が創建時(大正3年)の姿を復原してグランドオープンした。100年近くの歳月を越えて、首都東京の顔が蘇った。1日は、台風 17号が来襲し午後3時から駅前広場で予定していた記念式典は中止されたものの、外国人向けのJR EAST・Travel Service Center のオープニングセレモニ ーが午後4時から開かれた。冨田哲郎東日本旅客鉄道(株)社長が主催者挨拶、来賓を交えてテープカットが行われた。午後6時には駅舎ライトアップの点灯式が行われ、美しいレンガ造りのファサードを光の中に浮かび上げて、グランドオープンを盛り上げた。

新たな一歩を踏み出した東京駅(トラベルサービス
センター開所に当たってテープカットする関係者)

建築家の辰野金吾と葛西萬治が設計した創建時の駅舎(3階建て)は、昭和20年の東京大空襲で、シンボルの南北ドーム、大屋根、内装、八重洲口本屋が焼 失していた。戦後、昭和22年に2階建て駅舎として修復されていた。今回は、免震構造にし、鉄骨レンガ・RC・S・SRC 造、地下2階地上3階一部4階建て、延 べ面積約4万3000m2の規模で、最新技術を結集して創建時のデザインを復原した。レンガの色彩、屋根葺き、ドーム内部壁面、レリーフ、彫刻などディテール の造形にこだわり、当時の造形が見事に再生された。エキナカ商業施設「セントラルストリート」が同時オープン、さらに駅舎に付帯する客室150室の東京ステ ーションホテル(10月3日オープン)、美術展などを催す東京ステーションギャラリーもクラシックな重厚さを持つ建物に新装され、人気を博している。

丸の内、八重洲の東京駅周辺は再開発ビル群が建設され、その中心地に、丸の内駅舎がグランドオープンしたことで、一帯のまちづくりには、さらに拍車がか かり、賑わいをもたらすことになるだろう。東京駅自体も、平成26年度の東北縦貫線完成を始め、つくばエクスプレス乗り入れ構想、成田空港・羽田空港との アクセス構想、東京モノレールの延伸など様々な計画・構想が浮上している。その意味では、今回のグランドオープンは、新しい東京まちづくりの未来への発 車なのかも知れない。