4月1日から「東京都帰宅困難者対策条例」が施行された。
東京都は、民間事業者に対して、一斉帰宅の抑制を求めるとともに、飲料水や食料など、従業員3日分の備蓄を努力義務化した。また、外部の帰宅困難者を受け入れることを念頭に10% 程度の追加備蓄を促すなど、官民の総力を結集して対策に取り組む。
テーマは「自助・共助・公助」。
条例では、自助・共助を担う都民や事業者の責務と、公助となる都の取り組みを明確化。都民には、あらか じめ家族などと話し合い、連絡手段を確保すること、外出先での被災に備えた懐中電灯などの常備、待機場所や避難場所、徒歩による帰宅経路の確認を求める。
また、事業者には、「むやみに移動を開始しない」「一斉帰宅の抑制」を前提に、施設の安全を確認した上で、 従業員の事業所内待機を原則とする。駅や集客施設には、利用者保護の観点から施設内待機または安全な場所への誘導を徹底させる。また、民間企業などの事業 者には、事前に混乱収拾後の帰宅ルールを策定すること、事業所単位での防災計画等の作成と訓練による検証を求める。
都は条例の施行日となった4月1日に都立施設など200施設(約7万人分)を大規模災害時に帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設に指定した。
ただ、都の推計によると、一時滞在施設として必要になるのは約92万人分。残る約85万人分の確保には至っていない。都は今後、民間施設と協定を締結する など、民間事業者の協力を得ながら、一時滞在施設の拡充、確保に努める方針だ。
都内で約352万人もの帰宅困難者が発生した東日本大震災から2年。首都直下地震等では、約517万人とも推計される帰宅困難者への対策には官民の一層の協 力体制が不可欠になる。
当協会では一昨年11月に、大規模災害発災時の応急復旧業務の円滑遂行のための提言を盛り込んだ、「『首都直下地震』発災時における応急復旧体制を整え るために」と題した報告書をまとめている。