東京都財務局は、6月1日から技術力評価型総合評価方式入札と技術実績評価型総合評価方式入札における価格点の算定式を改正する。
最大のポイントは、調査基準価格(調査基準値)を下回る低入札価格帯での競争性が緩和される点だ。改正後の算定式では、調査基準値から基準値(特別重点調査相当)に向かって高くなる価格点の上昇率を補 正。価格競争の要素は残しつつも、価格競争力に特化することで受注できるという構図はなくなる。より企業の技術力(技術点)を重視した選定方式となるため、 ダンピング(過度な安値受注)抑止への効果も期待される。
低入札価格の競争性排除
算定式の改正による、従来方式と新方式の価格点の変化をグラフにした。
改正後の算定式では、調査基準値で応札した場合の価格点が従来の算定式で算出した価格点よりも明らかに高くなる。調査基準値のラインから特別重点調査のライン相当とみられる基準値に向かって上昇を描く価格点の曲線が従来よりも緩やかになっていることがわかる。
仮に価格点で満点を獲得する応札者がいても、調査基準値で入札した応札者との価格点の差はわずか。改正によって低入札価格帯では価格点に差が生じにくい 状況になる。
これは、発注者から見たときに、調査基準値を下回る低入札価格での競争性を排除したに等しい。このように技術点こそが応札できるか否かの分かれ目になる改正は、都が請負者選定の軸足を技術力評価へ大きく移し始めたことを如実に物語っている。
重み増す実績・環境配慮
〔技術実績評価型〕 価格点の曲線(改正前と改正後の比較) |
改正措置の対象である2類型のうち、技術力評価型は建築工事が予定価格2億円以上、土木工事が1億5000万円以上(一般土木は1億円以上、道路舗装工 事は8000万円以上)、設備工事が1億円以上が対象。施工計画の評価に重点を置く方式だ。
一方、技術実績評価型は、技術力評価型をベースに施工計画にかかわる評価項目を除外。企業の施工実績や技術力を客観的に評価する。対象工事は建築工事4 億円以上、土木工事3億2000万円以上、設備工事1億2000万円以上。今後の導入拡大が見込まれる方式である。
価格点算定式の改正によって、実質的に技術点の評価ウエイトを高めたことで、両方式に共通する「企業 の同種工事等の実績」(2点)や「配置予定技術者の資格点や実績点」(各3点)の評価項目は従前よりも一層、重要度が増すことになる。
また、東京都緑の大賞の受賞実績など、環境への配慮や障害者雇用の実績、ワークライフバランスによる 加点(0.5点)もこれまで以上に効いてくることになるだろう。