アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定した。11年6月に五輪招致を正式表明して2年余。16年大会に続き、再度の招致でついに悲願を達成した。東京でのオリンピック開催は、1964年以来、56年ぶり2回目となる。20年大会の成功は、東日本大震災からの復興を世界に示す絶好の舞台。建設産業界にとっても世界に誇る高い技術力を披瀝する機会にもなる。
2020年東京オリンピック・パラリンピック
開催決定に寄せて
一般社団法人 東京建設業協会
会長 近藤 晴貞
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定おめでとうございます。
猪瀬東京都知事をはじめ、ご関係の皆さまに心からお祝い申し上げます。
オリンピック開催を起爆剤に、未来に向けて希望が持て、日本が元気になることを期待しております。
国の内外から「東京」を訪れる多くの皆さんを安全・安心にお迎えし、快適に過ごしていただけるよう、我々の持つ世界に誇れる建設技術に「おもてなしの心」を込めて発揮することにより、オリンピックの成功に貢献していきたいと思います。
また、世界有数の先進的かつ安全な都市「東京」のさらなる進化を通して、若者たちに建 設業の魅力をアピールできる、またとないチャンスでもあると思っております。
9月8日早朝、東京都千代田区の東商ホールに詰めかけた大勢の招致関係者らは、決定の瞬間、一斉に歓喜にわいた。
東京にとっては、16年大会に続く、2度目の立候補だっただけに、秋山俊行東京都副知事(招致委員会副理事長)は「ついに念願がかなった」と会場に向かって万感の思いを伝えた。
10日には、招致委員会の会長を務めた猪瀬直樹東京都知事を始め、招致活動を先導した面々が帰国。都庁舎内で会見し、猪瀬知事は「チームニッポンの結束力が招致を成功に導いた」と、招致活動を支えた都民、国 民あるいは各業界団体の支援に感謝の意を表したほか、「最高の大会に仕上げて行かなければならない」と、その決意を示し、本格的な準備態勢に入ることを宣言した。
さっそく、翌11日の庁議で庁内各局の局長級職員を前に「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施準備会議」の設置を表明。本格的な組織委員会の立ち上げを前に、知事を委員長に各局の局長級を構 成メンバーとする局横断的な組織を立ち上げた。
開催地決定の瞬間、歓喜につつまれたブエノスアイレスの総会会場(©zumapress/amanaimages) |
東京でのオリンピック開催は、約3兆円とも試算される経済波及効果もさることながら、直接的な需要増加額だけでも約1兆円とされる。
実際に、メーンスタジアムとして、約1300億円を投入して改築する国立競技場を筆頭に、競技会場などの施設整備だけでも事業費は総額4500億円を超す。都が新規に整備するオリンピックアクアティクスセンターや有明アリーナ、バドミントンやバスケットボールの会場となる夢の島ユース・プラザ・アリーナなど、直接的な実需だけでも、数百億円規模の事業費を見込むビッグプロジェクトがずらりと並んでいる。
また、こうしたオリンピック特需と相まって、首都高速道路の再生に代表されるインフラの老朽化対策や、加速度的な展開が見込まれる防災対策など、土木分野での需要増も必至の状況だ。
開催までの期間は約7年。都庁内では「建設産業との連携が不可欠」との声も聞かれ始めている。発注者となる都にとって、建設産業への期待は予想以上に大きいものと言えそうだ。