担い手の確保・育成や適正利潤確保を公共発注者に求める、「改正公共工事品質確保促進法(品確法)」に基づく発注関係事務の共通ルール「運用指針」が今年1月30日に策定された。総務、国土交通両省は都道府県・政令市と各議会事務局に対し、適切な運用を求める通知を、運用指針本文とともに送付、管内市町村への周知も要請した。また国交省は建設業103団体と、建築設計や建設コンサルタントなど発注関連業務11団体、不動産業やインフラ関連の民間発注者25団体にも参考送付した。品確法と運用指針は公共工事を対象にしているが、その内容は建設工事全般の請負契約適正化と施工確保に役立つとして、情報提供した。運用指針については、自治体向けの説明会も全国各地で開かれており、担い手確保・育成と適正利潤確保を目的とした、新たな発注の仕組みがいよいよ動き出すことになる。
運用指針には、▷調査・設計▷工事発注準備▷入札契約▷工事施工▷完成後――の各段階で公共発注者が取り組むべき具体的内容を明記している。また、公共発注者が取り組むべき必須事項として、最新の積算基準適用や歩切り禁止、予定価格の原則事後公表、低入札価格調査制度・最低制限価格制度の活用徹底などを盛り込んでいる。
これまで建設業界が大きな課題として掲げ、収益悪化を招きかねないとして問題提起してきた「発注の平準化」、また年度末の納期集中を回避するための「施工時期の平準化」への対応にも言及。具体的には、債務負担行為の積極活用や年度当初からの予算執行、建設資材や労働者確保に配慮し着工までの余裕期間設定、週休二日確保に伴う不稼働日などを踏まえた工期設定などを掲げている。
納期集中や労働者確保などの問題について不安を抱えていた建設業界にとって、品確法と運用指針策定が受注環境の好転や経営改善効果が期待されそうだ。
東京都庁で開かれた運用指針の自治体向け説明会 |