新国立競技場の整備に加え、明治神宮野球場や秩父宮ラグビー場を全面的に建て替え・再配置し、周辺地区も含めて連鎖的に開発を進める「神宮外苑地区まちづくり」が動き始めた。対象は、神宮外苑地区(約64.3ha)のうち、神宮球場、秩父宮ラグビー場、一般社団法人高度技術社会推進協会(TEPIA)、伊藤忠商事㈱東京本社、日本オラクル(株)本社などの約17ha。2020年東京オリンピック・パラリンピック後に着工する考え。ほぼ並行する東京メトロ青山一丁目駅とJR信濃町駅を結ぶ大規模なプロジェクトで、神宮外苑地区に日本のスポーツ拠点である「スポーツクラスター」が誕生することになる。
4月1日、東京都は新国立競技場整備計画を契機に検討していた神宮外苑地区で、土地区画整理事業によって、神宮球場と秩父宮ラグビー場の全面建て替えと、配置を入れ替える再配置、民間施行の開発を誘導するなどの連鎖型開発を行う方針を明らかにした。
同日、東京都と関係権利者6者は「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」の締結式も開いた。締結式には舛添要一東京都知事、明治神宮の中島精太郎宮司、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長、TEPIAの中村貴司常務理事、伊藤忠商事(株)の岡藤正広社長、日本オラクル(株)の杉浦博茂代表執行役、三井不動産(株)の菰田正信社長が出席した。
神宮球場と秩父宮ラグビー場の全面建て替えと再配置は、最初に秩父宮ラグビー場を取り壊し、その場所に新たな神宮球場を建設、その後、既存神宮球場を取り壊し秩父宮ラグビー場を整備する連鎖型開発。神宮球場を使う大学野球は、神宮を離れずに済む。ラグビーワールドカップ2019は新国立競技場がメーン会場に決定している。
連鎖型開発は、青山通り周辺の民間再開発も誘発する可能性があり、神宮外苑地区では東京五輪後も開発事業が進むことになりそうだ。
写真手前、秩父宮ラグビー場の位置に新野球場が建設される。その後約10年をかけて神宮外苑は、新たなスポーツと文化の集積空間として生まれ変わる(写真は2012年8月撮影) |