6月1日から変わる「技術者配置要件」
( )内は建築一式
監理技術者の配置要件を緩和
特定建設業許可・監理技術者の配置が必要な下請総額の下限額をアップ
5月末まで | 6月1日から | 緩 和 内 容 |
3000万円 (4500万円) |
4000万円 (6000万円) |
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技術者専任要件の緩和
主任技術者・監理技術者の専任が必要な工事請負代金の下限額をアップ
5月末まで | 6月1日から | 緩 和 内 容 |
2500万円 (5000万円) |
3500万円 (7000万円) |
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「要件緩和で技術者の非専任額アップへ」――。6月1日から、「監理技術者の配置要件」と「技術者の専任要件」がそれぞれ緩和される。特に、主任技術者の配置義務づけの要件額が土木・建築ともに引き上げられることで、技術者の兼任可能性が高まることになる。一方で技術者の兼任可能性が高まることは、発注者にとって品質確保への担保懸念が、地元中小建設業にとっては、発注者から信頼される技術者を抱える企業の落札件数増加に伴う小規模工事の受注寡占懸念も生まれる。そのため、和歌山県ではいち早く6月1日から総合評価方式対象工事で、技術者の専任要件緩和に該当する場合、同一技術者の兼任を2件までとする受注制限に踏み切っている。
6月1日から始まる技術者制度見直しの具体的内容は、特定建設業の許可と監理技術者の配置が必要な下請契約の請負代金下限額を、これまでの3000万円(建築一式は4500万円)から4000万円(同6000万円)に引き上げる。それに伴い、一般建設業許可業者も下請契約総額の上限額が4000万円(建築一式は6000万円)未満まで拡大することになる。
また技術者の専任が必要な請負代金の下限額もこれまでの2500万円(建築一式は5000万円)から3500万円(同7000万円)まで引き上げる。いずれも、物価上昇や消費税の増税分などを踏まえた対応。1994年度に制定された技術者配置要件額は22年ぶりに変更されることになる。
技術者の配置要件が緩和されることで、今回の要件緩和に該当する工事を主に受注する中小建設業にとっては、技術者の効率的配置や応札可能件数が増加し、ひいては保有する技術者数で制限されてきた応札・施工現場数が増えることで、売上げや利益確保にもつながりそうだ。