国土交通省は、2014年8月から直轄工事において1次下請に対して試行していた社会保険等の未加入企業排除を、4月1日以降に入札契約手続きを行う工事から、2次以下含め全ての下請に拡大して行う「社会保険未加入対策」の適用を始めた。排除措置強化は2段階で行われ、4月からは2次下請以下の未加入が判明した場合、元請業者に対して加入指導を求める。10月からは、30日の猶予期間内に加入確認書類が提出されなかった場合には、元請業者に制裁金を課すとともに指名停止や工事成績評定での減点措置がとられる。
また同省は建設市場の過半を占める民間工事でも、下請の社会保険加入原資確保のために、必要な経費を見込んだ適正な価格で発注するよう促す要請文書を、3月16日付けで不動産協会など民間発注者団体に発出した。民間発注者への要請は2012年7月、2013年6月に続く3度目となる。
① | 2014年8月1日以降の工事案件で試行していた「元請が社会保険未加入の1次下請と下請契約することを禁じることで、直轄工事から1次下請の社保未加入企業を排除する」排除策は、4月1日以降契約分から本格実施 | |||||
② | 4月1日から新たに、従来の1次下請だけでなく2次以下を含め全ての下請企業に社保未加入排除策を適用する | |||||
⇒ | 具体的には | |||||
♢ | 監督職員(発注者)は受注者から提出された施工体制台帳・添付書類で社保未加入企業有無を確認 |
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♢ | 1次下請が社保未加入の場合 | |||||
⇒ | 監督職員は契約担当課に書類写し送付。 | |||||
⇒ | 元請に対し、未加入企業を下請にしなければならない特別事情記載書面(特別事情申請書)提出を通知。特別事情に該当するか否か、発注者が決定。特別事情申請書が提出されない場合は、特別事情がないとみなす。 特別の事情がないとされた場合、未加入の1次下請の下請契約額の1割を制裁金として元請に請求 特別の事情を発注者が認めた場合、元請に対し一定期間を指定し確認書類提出を求める。確認書類が提出されなければ制裁金を請求する。 |
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♢ | 2次及び2次以下の下請が社保未加入の場合 | |||||
⇒ | 監督職員は契約担当課に書類写しを送付。 | |||||
⇒ | 元請に対し、未加入企業に加入指導を求める通知。通知を知った日から30日以内に社保加入確認書類または特別事情申請書提出を求める。 | |||||
⇒ | 元請の加入指導を発注者が認めた場合、上記30日以内の書類提出対応期間を、2次下請は60日、3次下請以下は90日を目安に延長できる。30日以内または延長期間内に確認書類が提出されず、特別事情も認められない場合には、工事請負契約の契約違反となることも元請に通知。 特別の事情がないとされた場合、元請に対し契約違反が続いている時には再度一定期間を定めて改善指示 特別の事情を発注者が認めた場合、元請に対し社保加入指導を求める |
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* | 制裁金請求または特別の事情を認めたいずれの場合も、契約担当課は建設業担当課へ通報、さらに未加入企業の許可権者は建設業許可申請時(更新含む)や経営事項審査と同様に加入指導を行う | |||||
③ | 2017年10月1日以降の入札契約手続き開始から適用 | |||||
2次以下下請の社保未加入について、特別の事情がないとされた場合、元請に対し、未加入下請と直近上位の下請との下請契約額の5%を制裁金として請求。また元請に対して、指名停止や工事成績評定での減点などペナルティ適用も開始。 |