建設業界で「働き方改革」への取り組みが加速している。(一社)全国建設業協会は9月理事会で、地域建設業が目指すべき働き方改革の指針となる「働き方改革行動憲章」を策定した。行動憲章は、長時間労働の抑制や生産性向上など10項目を柱として盛り込んだ。また(一社)日本建設業連合会も9月、改正労働基準法が成立すればその施行から5年後(2017年度内に改正労基法が成立し、2019年4月から施行される場合は、適用は2024年4月)から、建設業に対し罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されることを踏まえ、適用前から段階的に時間外労働を削減する「時間外労働の適正化に向けた自主規制の試行」を開始。このほか日建連は、長時間労働是正のかぎである週休2日実現へ向け、12月に「週休二日実現行動計画」を策定する。
建設業界で元請、下請において、働き方改革に対する取り組みが加速している。今年3月の政府の働き方改革実現会議で、建設業に対し、「適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進など休日確保など、民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠」と明記され、取り組み支援に言及したことが取り組みへの加速を決定づけた。具体的には、8月の関係省庁連絡会議で公共・民間を含むすべての建設工事を対象に、「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」が策定された。これがこれまで建設業界が問題にしてきた、工期ダンピングの歯止め・防止への強い期待となっていた。
♢全建 働き方改革行動憲章
① | 経営トップのリーダーシップの発揮 | ⑥ | 人材育成の推進 |
② | 生産性向上に向けた課題と目標の共有 | ⑦ | 適切な処遇の確保 |
③ | 女性を始め多様な人材がいきいきと働ける環境の整備 | ⑧ | 適切な受注の確保 |
④ | 建設現場における労働安全・衛生環境の整備 | ⑨ | 下請企業や取引先の労働環境改善への配慮 |
⑤ | 長時間労働の抑制と年次有給休暇の取得促進 | ⑩ | 行動憲章の周知・徹底 |
東建、飯塚会長名で「働き方改革」取り組み要請
全建、日建連などの全国団体が、働き方改革への対応を加速させるなか、東京建設業協会の飯塚恒生会長は9月26日に開催した理事会で、「働き方改革は、生産性向上ととともに、担い手確保のために避けては通れない」として、各社が実情に合わせて準備を進めるよう対応を求めた。10月には、同会長名で「働き方改革への取り組み」に関する要請文を全会員に送付した。