局地的な集中豪雨や首都直下地震など大規模災害発生に備える、防災・減災、国土強靱化を目的とした予算確保が、国と東京都で進んでいる。防災・減災、国土強靱化予算の増加は、公共事業費そのものを押し上げる格好にもなっている。未だ復旧・復興が終わらない「平成30年7月豪雨」や「北海道胆振東部地震」などへの対応として予算措置された4401億円の2018年度第一次補正予算と、1兆1398億円に上る第二次補正予算の合計額は1兆5799億円に上る。さらに2019年度予算案を加えた公共事業関係費の合算額は8兆円程度まで増加する。
一方、東京都の2019年度予算案でも、政府の「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」に連動する形で、災害対策への対応と予算確保は鮮明になっている。また多くの東京オリンピック・パラリンピック競技大会の競技施設が2019年度中に竣工することから五輪整備向け費用も急増した。
東京都の2019年度予算案のうち投資的経費は、前年度比19.3%増の1兆3269億円と2桁の大幅増となった。10年前の2009年の東京都の投資的経費は7770億円余。10年間で7割増まで増加した形だ。
具体的に2019年度予算として東京都は、時間75㎜/65㎜対応へ新たな調節池の整備検討を前倒し実施▷環状七号線地下広域調節池の延伸など検討▷荒川第二・第三調節池▷流域下水道の整備▷地下街浸水対策の検討調査――を豪雨対策の新規事業として計上した。
すでに国の2018年度第一次、第二次補正予算は成立しており、業務、工事ともに建設業界が強く求めていた、発注・工事の平準化へ向け、通常閑散期の第1四半期の業務・工事量確保につながりそうだ。
一方で発注が集中した場合の入札不調増加が、「公共工事予算を積み増しても、供給量がないなら予算を増やす必要はない」との論調が出ることには警戒の必要がある。
死者が200人に上り、平成最悪の水害をもたらした平成30年7月豪雨。中小河川や大河川が氾濫し、土石流、都市部での内水氾濫等により、西日本を中心に甚大な被害をもたらした。大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について国土交通省の検討小委員会は、緊急的に実施すべき対策として、減災のためのハード対策の実施等を答申した(平成30年7月14日撮影)。 |