国土交通省は、直轄「工事」及び調査・設計などの 「業務」の低入札価格調査基準(調査基準価格)を見直した。2019年4月1日以降の入札公告案件を対象に、工事の場合、調査基準価格の設定範囲を従来の予定価格に対する割合「70―90%」を、「75%―92%」に引き上げた。調査基準価格が下限で5%、上限で2%引き上げられたことで、入札に参加する応札企業はこれまで以上に、品質確保や働き方改革・処遇改善などへの対応が行いやすくなる。
設定範囲の改定は10年ぶり。2009年3月までの設定範囲は、予定価格の「3分の2―85%」だった。10年間で調査基準価格の設定範囲は、下限で9㌽、上限も7㌽それぞれアップしたことになる。
建設業界にとって調査基準価格の見直しは、競争が激化する中でも企業を維持するためには必要不可欠だった。公共工事の場合、発注者が様々な情報をもとに算出した予定価格(官積算)そのもので受注できる可能性はほぼゼロである。調査基準価格の設定範囲の引き上げは、応札企業にとって受注した場合の品質、安全、処遇など様々な面での余裕につながる可能性がある。
国土交通省に対しこれまで建設業界は、調査基準価格の見直しとして、今回見直された設定範囲だけでなく、直接工事費や現場管理費、一般管理費等それぞれの割合の見直しを継続して求め続けてきた。調査基準価格が現場コストと経営環境に直結しているためだ。
東京都は昨年、入札契約制度改革の本格実施の一環として、調査基準価格の設定範囲の上限を90%から92%に引き上げている。