メインスタンド棟(左)と競技コース(右) |
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでボート・カヌーの競技会場となる海の森水上競技場の完成披露式典が6月16日に開かれた。小池百合子東京都知事を始め関係者約400人が式典に出席、競技場の待望の完成を祝った。
席上、祝辞を述べた来賓のジャン・クリストフ・ローランド国際ボート連盟会長は、「初めて視察に訪れた時に見た中央防波堤の水路が、このように立派な競技場に変身するとは想像できなかった。これを実現した日本の創造力と技術力に感銘を受けた。まさにオリンピック・パラリンピックにふさわしい競技場だ」と語り、完成した競技場と整備に尽力した関係者を称えた。
都が整備費約308億円を投じ、東京港中央防波堤地区に建設した同競技場は長さ約2300m×幅約200m。国際大会の開催に必要な2000mのコースをボート8レーン、カヌー9レーンで設定できる。各コースの間に消波装置を設け、試合で生じる波の影響を低減するほか、東西の両端に設けられた締切堤により、水位の変動や外洋の波を抑えてコースの静水面を保つなど、海上競技場ならではの課題に対応。選手が競技で十分なパフォーマンスを発揮できる環境を整えた。
観客席はグランドスタンド棟に約2000人分を設置し、20年の大会では仮設観客席も整備して最大1万6000人の収容を可能とする予定だ。施設はこのほか、ゴールの判定を行うフィニッシュタワー、ボート保管機能や宿泊施設を備えた艇庫棟などで構成される。
競技場は首都圏で唯一の国際大会が開ける規格を満たす施設。大会後も活用する恒久施設として、次の世代に受け継いでいく。
東京都の「都市づくりグランドデザイン」によると、競技場がある臨海部は一大スポーツゾーンとする計画で、海の森水上競技場や有明アリーナなどの恒久施設は、スポーツを通したにぎわい創出の中核を担う。
同日、こけら落としとして開かれた海の森水上競技場完成記念レガッタでは、ボート競技発祥の地とされるイギリスからオックスフォード、ケンブリッジの両大学を迎え、国内からは全日本大学選手権のボート競技で13連覇中の日本大学などが参加。
最終レースの大学男子エイトでは、イギリスの両校を抑え日大と中央大がしのぎを削る展開となった。日本勢の活躍と白熱した試合展開を前に、チームメイトや家族の応援にも力が籠り、会場は本番さながらの熱気に包まれた。
8月には同競技場で2019世界ボートジュニア選手権大会も開かれる。開催まで400日を切った大会に向けて本格的な運用がスタートする。
完成記念レガッタ |