東京都は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会終了後から2040年代までを見据えた東京都の未来像を示した『未来の東京戦略ビジョン』をまとめた。2040年代の東京の姿として「20のビジョン」を提示したほか、ビジョンを具体化するため、2030年に向けた「20の戦略」、戦略を実行するための約120の「推進プロジェクト」を掲げているのが大きな特徴。近年、多発している台風・豪雨災害への対応として、2030年度までに、約150万㎡の貯留量を持つ新たな調節池の事業化を明記した。調節池整備をさらに加速化させることを打ち出した形。今後、都民の意見や議会での議論も踏まえ、五輪大会終了後をめどに長期戦略を策定する。
20の戦略のうち、「安全・安心なまちづくり戦略」の中で2030年に向けた政策目標として掲げた、「調節池などの更なる整備推進」では、2025年度までに整備中の調節池が新規稼働することで、2018年度の貯留量256万㎥が約360万㎥まで拡大。そのうえで2030年度までに新たに約150万㎥の調節池を新事業化することを示した。このほか「都道や区市町村道などでの無電柱化推進」や「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化推進」も盛り込んだ。
また、「都市の機能をさらに高める戦略」では、「骨格幹線道路の整備推進」として、▷区部放射▷区部環状▷多摩南北▷多摩東西――の整備率すべてを2030年度には2018年度比で5%から最大16%まで引き上げる目標を掲げた。さらに「拠点ターミナル駅周辺の再編」では、新宿駅直近地区土地区画整理事業のほか、国道15号・品川駅西口広場事業を挙げたほか、多摩地域でも「都有地などを活用したまちづくり推進」として南大沢駅周辺地区のまちづくりを掲げた。
多摩地域については、世界有数のイノベーション先進エリアとして、都立大など多摩地域にある大学や研究機関、大手ハイテク企業、中小企業、スタートアップ企業などがさまざまな形で融合する「多摩イノベーションパーク構想」を打ち出している。