大規模開発が進み「街」の姿が刻一刻と変わる、東京・渋谷。その中心で多くの鉄道路線が集中するJR渋谷駅東口駅前広場の地下に、1時間当たり50㎜~75㎜の強さの雨が降った場合、その雨水を貯めることができる「渋谷駅東口雨水貯留施設」が8月31日から供用を開始した。貯留施設は、東急(株)と(独)都市再生機構(UR)が共同施行する渋谷駅街区土地区画整理事業の一環として整備(事業区域外の取水管は東京都下水道局で整備)した。施設の維持管理は東京都下水道局。供用開始に先立って8月19日、東京都と東急(株)は南北約45m・東西約22mで約4000㎥の雨水を一時的に貯めることができる大規模構造物の内部を報道関係者に公開した。
JR渋谷駅東口駅前広場の地下約25mの深さに位置する雨水貯留施設は、1時間当たり50㎜を超える雨が降った場合、駅周辺に設けた取水点から雨水を取り込む。貯まった雨水は天候回復後、48時間をかけ近くの既設下水道幹線(古川幹線)へ排水する仕組み。最大で1時間当たり75㎜の降雨にも対応可能となる。
渋谷駅周辺はもともと、すり鉢状の地形で降雨時の雨水が溜まりやすいという課題があった。また近年の気候変動によってゲリラ豪雨など降雨も激甚化し、都市部では排水能力を超える雨量に達した場合、水があふれ出る「内水氾濫」の懸念も指摘されていた。
渋谷駅東口側地下工事断面図 |
今回、供用を開始した雨水貯留施設は、2011年2月に工事着手、2014年8月の掘削完了後から本設工事に順次着手してきた。
周辺を坂で囲まれ過去、浸水・冠水被害に悩まされてきた渋谷駅を中心にした街も、台風やゲリラ豪雨などいざという時の安全・安心に、雨水貯留施設が大きく貢献することになりそうだ。
雨水貯留施設の内部。1時間50㎜を超えた雨水がドロップシャフト(写真左)から取り込まれ、その後排水される仕組み |