主な変更ポイント |
改正建設業法の多くが10月1日から施行された。法律で、「著しく短い工期による請負の禁止」いわゆる工期ダンピング(過度な競争)禁止が施行されたほか、連動する形で工期や請負金額に影響を及ぼす事項について、注文者に対して事前の情報提供を義務づけるなど、新たな取り組みが始まった。10月から施行された改正建設業法は、建設業界にどのような影響を及ぼすだろうか。
改正建設業法の主なポイントは12。具体的には、▷企業の持続可能な事業環境支援▷企業存続へ向けた働き方改革▽現場の生産性向上――に大きく分けられる。このうち従来から存在していた「不当に低い請負代金の禁止」いわゆる価格ダンピング禁止規定に加え、「著しく短い工期の禁止」規定を追加し、「価格」と「工期」のダンピング禁止が法律上でも明記された。違反した場合には、勧告・公表・処分などを行う。また、工程ごとの作業に必要な日数を明らかにした見積もり作成を努力義務として盛り込んだほか、工期などに影響を及ぼす情報提供を注文者に義務づけた。
一方、企業の持続可能な事業環境の確保促進に向けて、これまで厳しくしていた「経営業務管理責任者」の要件を大幅に緩和したほか、合併・譲渡、相続といった事業承継項目も新設し、事前認可手続きを新たに設けるなど事業承継の円滑化を目指している。さらに、技術者制度についても、監理技術者と主任技術者それぞれについて、「特例監理技術者」「特定専門工事」の場合の技術者配置要件を緩和した。特例監理技術者については、2021年4月からスタートする技術検定制度見直しに連動する形で本格化するものと見られる。特定専門工事は、形式的な主任技術者配置を求めるのではなく、明確な指示命令系統の中で行われる作業の実態に合わせた技術者の配置を認めるもの。いずれも技術者配置義務の緩和となる。