政府は11月19日の臨時閣議で、国の支出と財政投融資を合わせて55兆7000億円の財政措置を行う経済対策を決定した。民間支出などを含む事業規模は78兆9000億円。このうち、防災・減災、国土強靱化に充てる財政支出は4兆6000億円、事業規模は5兆円程度となる。政府は今後、財源の裏付けとなる2021年度補正予算案と2022年度予算案編成を急ぐ。補正には31兆9000億円、うち「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に1兆2539億円を計上、年内の予算成立を目指す。
岸田文雄首相は10月8日の衆参両院本会議で就任後初の所信表明演説に臨み、インフラ整備については、「老朽化対策を含め、防災・減災、国土強靱化の強化とともに、高速道路、新幹線など交通、物流インフラの整備を推進する」と表明した。また重要インフラの整備などを念頭に、財政の単年度主義の弊害是正にも取り組むことを宣言した。
一方、岸田政権が掲げる「成長と分配」のうち、分配戦略の柱として、「下請取引に対する監督体制を強化し、大企業と中小企業の共存共栄を目指す。労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化する」と説明した。看護師や介護士、保育士などへの分配機能強化の検討開始に合わせる形で、斉藤鉄夫国土交通相も現場で働く人たちの処遇改善へ意欲を見せる。記者会見で斉藤国交相は、所管分野でのエッセンシャルワーカーの処遇改善に関する質問に対して、「建設分野においても若い世代の参入には、やはり待遇改善が非常に大きな問題。建設キャリアアップシステムや魅力ある仕事場にしていくことも国交省の大きな一つの使命だと思っている」と答えた。
■東京都の予算要求 4年連続7兆円超え
建設局は3.7%増の5855億円
東京都の各局が提出した「2022年度予算要求」のうち、一般会計予算の要求総額は前年度比4.0%減の7兆1289億円となった。規模的には、2019年度予算要求から4年連続で7兆円を超えた。
局別では、建設局は3.7%増の5855億円で、土木費の多くを占める道路橋梁費が増加した。このうち投資的経費は4.1%増の5053億円を見積もった。一般会計の内訳は、道路橋梁費が4.1%増の3742億円、河川海岸費は7.7%減の1133億円、公園霊園費は25.8%増の717億円、土木管理費は4.0%増の261億円だった。
このほか、主な局別要求額は、財務局が14.5%減の200億円。港湾局は0.1%減の1073億円、都市整備局は1.0%減の831億円だった。住宅政策本部は3.8%増の374億円を要求した。