厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は4月、2070年までの日本の将来推計人口を公表した。2020(令和2)年には1億2615万人(令和2年国勢調査)であった外国人を含む総人口(中位推計)は、2070年には8700万人まで減少する。50年かけて人口が3割縮小する計算だ。
人口減少の影響は大きい。人口の規模は国力(GDP=国内総生産)に直結しており、1人当たりのGDPが向上しなければ、人口減は国力縮小につながる。そして問題は「人口減=縮む国力」だけではない。
日本の人口が1億人を突破した1967(昭和42)年の年齢3区分(0~14歳=年少人口、15~64歳=生産年齢人口、65歳以上=老年人口)の割合はそれぞれ、24.4%、69.0%、6.6%。全人口に占める労働力数の割合は約7割、労働力予備軍である年少人口も加えると、実に全人口の9割以上が日本の高度成長期を支えた。
では現在の労働力はどうだろうか。2020年の日本人人口の年齢3区分の割合は、12.0%、59.0%、29.0%と明らかに年齢構成が変わった。1967年と比べると、総数は2020年が2600万人ほど多い一方で、年少人口は1000万人程度少なく、老年人口は6倍近く増加した。
日本の人口のピークは2008(平成20)年の1億2808万人だが、年少人口数よりも老年人口数が上回ったのは1997年のことである。建設業界ではその3年前の1994年、戦後最大の転換点と言われる「一般競争入札本格導入」の影響が大きく取り上げられていたが、その時から担い手確保問題は深いところで進行していたことになる。
「縮む労働力」の危機は、建設業界にも影響を与える。建設業の生産能力を構成する就業者数で、企業が求める数まで達していない割合を示す欠員率は11業種中2番目に高い水準になっている。
出典:日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要 国立社会保障・人口問題研究所 |