図の出典:デフレ完全脱却のための総合経済対策 内閣府 |
政府は11月2日、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定した。財源の裏付けとなる2023年度補正予算案の一般会計追加額は、13.1兆円。これに定額減税や関連経費を合わせた規模は17兆円台前半となった。特別会計の追加額は1.2兆円を見込む。これらに地方の歳出や財政投融資を含む財政支出は21.8兆円程度、事業規模は37.4兆円程度。
総合経済対策は、▷物価高から国民生活を守る、▷地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現、▷成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進、▷人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進、▷国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保――が5本柱。
このうち最初の柱である、物価高対応については、公共事業についても言及(下記)。資材価格の高騰などを踏まえ、適切な価格転嫁が進むよう、「特に市区町村を始めとした地方公共団体」と踏み込んだ表現で、適正な予定価格の設定やスライド条項の適切な運用要請のほか、必要な事業量確保と社会資本整備を着実に進めることを明記した。
これまで働き方改革や価格転嫁への公共発注者の対応については、中小建設企業を中心に「市区町村の対応」を課題として挙げる声が根強くあった。
「デフレ完全脱却のための総合経済対策」について 第2章 経済再生に向けた具体的施策より
公共事業について、資材価格の高騰等を踏まえ、適切な価格転嫁が進むよう、特に市区町村を始めとした地方公共団体に対して、最新の材料価格等を反映した適正な予定価格の設定やスライド条項の適切な運用等の徹底を要請した上で、必要な事業量を確保し、社会資本整備を着実に進めるとともに、今後、賃金支払の原資となる適切な労務費の確保に係る制度改正を含めた対応の具体化を進め、建設企業の適正な利潤の確保と建設労働者の賃上げを支援する。国、地方公共団体等による物品調達やサービス(ビルメンテナンス、警備等)について、資材価格の高騰、賃金上昇等の転嫁を進める。