岸田総理の発言要旨
▽春闘では大企業を中心に力強い動きがみられる。最重要課題は適切な価格転嫁を通じて、この力強い賃上げの流れを中小零細企業に広く波及させること。
▽ 建設業は長年、低賃金で3K(きつい、汚い、危険)と指摘されてきたが、未来への前向きな新3K、給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる産業に変えていかなければならない。
▽官民挙げた取り組みを通じ、コストカットの縮み志向から成長型経済への転換を図り、設備投資と公共投資を支える建設業の担い手確保と持続的な発展につなげていきたい。
政府は3月8日、賃上げなどをテーマにした建設業4団体(日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会)との意見交換会を首相官邸で開き、斉藤鉄夫国土交通大臣と4団体のトップが官民共通の2024年技能者賃上げ目標を「5%を十分に上回る上昇」に設定することなど2点を申し合わせた。
意見交換会が官邸で開かれるのは初めて。岸田文雄総理や関係閣僚も同席した異例の形式での開催の背景には、賃上げの実現に総力を挙げて取り組む政府の強い思いがにじむ。岸田総理自ら「私からも5%を十分に上回る賃上げを各社で強力に進めていただくようお願い申し上げる」と団体トップに協力を求めた。
会合で斉藤国交大臣は、国民生活や経済を支え、災害対応の主体となる建設業が将来にわたってその役割を果たしていくためには、担い手確保が喫緊の課題と指摘。課題解決に向けては「大胆な賃上げが不可避」とし、「公共工事設計労務単価の引き上げを受け、各社で現場技能者の賃上げを確実に進める必要がある」と強調した。
技能者賃上げ目標は、直轄工事で3月から前倒しで適用している24年度公共工事設計労務単価が全国・全職種の単純平均で前年度比5.9%上昇し、前年度の伸び率5.2%を上回ったことを踏まえて設定した。賃上げ目標とともに、働き方改革の推進に向けて「必要な対応に万全を期す」ことも申し合わせた。