東京都は7月、公営企業局を除く都の全ての調達を対象に「東京都社会的責任調達指針」をまとめた。工事や物品調達、委託等の履行において、サプライチェーン全体を含め受注者に指針の順守を求め、不順守に関する通報を受け付ける「通報受付対応(グリーバンス・メカニズム)」窓口を設置する。実効性確保へ助言などを行う第三者で構成する会議体も設置。不順守が確認されれば、受注者などに改善措置を求める。詳細は、2025年1月をめどに情報発信する。
指針は25年4月1日以降に公表する財務局契約第一課、同二課発注案件から適用を始め、順次対象を拡大する。指針に盛り込まれた項目は、「義務」と「推奨」に分類している。
今後は今秋にも受付開始予定の25・26年度分の競争入札参加資格審査申請時に、全申請者に指針に対応しているかどうかのチェックリストの提出を求め、調達指針順守に向けた取り組み状況を確認する。チェックリストによる確認の結果、指針の「義務」事項について取り組めていないものがある場合は、指針が適用される案件には参加できない。8月には指針の趣旨や意義、具体的な取り組みを盛り込んだ「解説版」を作成・公表し、説明会も開催した。
*物品の個別基準も検討開始
また東京都は、「社会的責任に配慮した調達に係る有識者会議」で、社会的責任に配慮した物品別の個別基準の検討を始めている。都が対象として提示したのは、▷木材▷紙▷農産物▷畜産物▷水産物▷パーム油――の6物品。木材の場合、建築・土木工事で使用されている。