中央建設業審議会の「労務費の基準(標準労務費)に関するワーキンググループ(WG)」による標準労務費作成議論が本格化している。標準労務費とは、適正な労務費の確保と技能労働者に賃金として行き渡るための新ルール。今年6月に成立した改正建設業法(第3次担い手3法)で、国土交通省の審議会である中建審による、標準労務費の作成・勧告することが盛り込まれた。その結果事実上、国が労務費相場をつくるという、新たな時代が到来することになる。中建審WGは2025年11月ごろをめどに標準労務費を作成し中建審が勧告する予定だ。
中建審WGは9月10日に発足、11月6日に第2回会合が開かれ、標準労務費の実効性確保の取り組み方向性案について議論した。WGは多様な視点と論点で議論するため多様な立場からメンバーが参加している。一方でWGとは別組織で並行して職種別に標準労務費議論も開始した。具体的には職種別業界団体と意見交換するもので、「鉄筋」と「型枠」から議論を始める。また特殊性が指摘されている「住宅分野」も別途、標準労務費適用へ向けた課題を整理していく予定だ。
これまで元請け、協力企業ともにこれまでの商慣習だった「材工一式」契約のなかで、一般管理費などの経費確保に比較的固執してこなかった側面もあった。国による労務費相場実現へ向け、「材工分離」契約で浮上するさまざまな経費と歩掛かり確保の必要性が出てきそうだ。
標準労務費WG第2回会合。WGとは別に業種別意見交換も始まり、請負の新ルール導入作業が急ピッチで進む。 |