建設技能者の退職金制度「建設業退職金共済制度(建退共)」で退職金の上乗せを複数選択できる〝複数掛金制度導入議論″をめぐる議論が本格化している。これまで建退共の退職金は、40年働いて400万円程度で、全産業平均の半分程度にとどまっていた。2025年3月、労働政策審議会の部会が建設労働者の技能レベルに応じた処遇改善に言及した報告を公表。同年4月、独立行政法人勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部が「建退共制度検討会議」を発足させた。
議論の焦点は、建退共本部が3月の運営委員会・評議員会で表明した「退職金1000万円超を目指す」方針に基づいた、▷複数掛金制度の導入、▷民間工事への普及拡大――の2点。複数掛金とは、現行掛金が日額320円で固定されているものを、複数の掛金上乗せの枠組みを導入することで退職金額を引き上げる枠組み。今秋に最終報告をまとめる。
技能者確保への取り組みでは、国交省が労務賃金の相場づくりに関与する中建審の「標準労務費の作成・勧告」へ向けた議論も大詰め。その一方で、建退共の複数掛金制度導入により、退職金でも他産業に遜色がないよう厚みを持たせ、担い手確保につなげる。
また建退共はこのほか、業務効率につながる建設キャリアアップシステムとの完全連携へ電子ポイント方式を拡大。今後行う電子申請専用サイトのリニューアルに伴い、「退職金ポイント還元キャンペーン」期間中に、購入した退職金ポイントを対象にポイント還元も行う。
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![]() | ![]() 4月25日に開かれた建退共制度検討会議初会合 |