生産性向上への取り組み
♢2015(平成27)年11月
国土交通省 i-Constructionの取り組み発表
♢2016(平成28)年3月
国交省 生産性革命本部設置
♢2016年4月
日建連 生産性向上推進要綱Ver.1発行。施工部会で誰にでも使える汎用技術展開、いわゆる業界スタンダード推進取り組み
♢2016年9月
政府の未来投資会議初会合 安倍総理大臣から第4次産業革命による「建設現場の生産性革命」に向け、2025年度までに建設現場の生産性2割向上を目指す方針。また安倍総理は、3年以内に橋やトンネル、ダムなど公共工事の現場で測量にドローンなどを投入し、施工、検査に至る建設プロセス全体を3次元データでつなぐ新たな建設手法導入も明言。
・生産性向上のイメージ⇒ICT導入を始めとした技術革新導入による、省人化・省力化+休日拡大(働き方改革)で工事日数削減=少ない人数と少ない日数で同じ工事量実現(i-Construction推進)
♢2017(平成29)年12月
政府 「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定。現場への新技術導入などを明記。
働き方改革の取り組み
政府・経済界の動き
◇2016(平成28)年9月
政府 働き方改革実現会議初会合。
◇2017(平成29)年3月
政府 働き方改革実現会議で「働き方改革実行計画」を決定。これまで罰則付き時間外労働規制適用除外だった建設事業にも適用が決定。
ただ合わせて、「建設業については、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休二日の推進等の休日確保など、民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠であることから、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するとともに、制度的な対応を含め、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進め、合わせて業界などの取り組みを支援する。また、技術者・技能労働者の確保・育成やその活躍を図るため制度的な対応を含めた取り組みを行うとともに、施工時期の平準化、全面的なICTの活用、書類の簡素化、中小建設企業への支援などにより生産性の向上を進める」文言も明記。
◇2017年8月
政府 建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議が民間発注者も対象にした、「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」公表。
◇2017年9月
経済4団体と全国の業種別経済団体60団体 「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」公表。
政府・経済界の動き
◇2017(平成29)年3月
日建連 週休二日推進本部を設置推進取り組み。
◇2017年9月
日建連 働き方改革推進の基本方針策定。時間外労働の適正化に向けた自主規制の試行決定。
(一社)全国建設業協会 働き方改革行動憲章。
◇2017年9月以降
各業種別全国団体もそれぞれ働き方改革取り組み公表。
◇2017年12月
日建連 週休二日実現行動計画を公表。
年間総実労働時間 | 年間出勤日数 | |
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」年度報より国土交通省作成 |
政府 指針を策定し後押し
2015年11月に国土交通省がi -Constructionへの取り組みを発表して以降、生産性向上に取り組み始めている建設産業界。今また生産性向上に加え働き方改革を念頭に置いた新たな展開局面を迎えている。きっかけは、2017年3月の働き方改革実行計画決定だった。政府が計画決定する2週間前の3月13日には、(一社)日本経済団体連合会(経団連)と日本労働組合総連合会(連合)が時間外労働の上限規制を設けるという歴史的合意を果たし、建設産業もこの流れの中で、働き方改革への取り組みに大きく踏み出す形となった。
建設産業をけん引する格好で、(一社)日本建設業連合会(日建連)が、2017年3月に国土交通大臣に対し発注者に適正工期発注を求める「長時間労働是正の要請」を提出したほか、時間外労働の上限規制を受け入れる決議と週休二日推進本部設置を相次ぎ決めた。
また、政府も同年8月には建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議で、公共だけでなく民間発注者も対象にした「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定、働き方改革に取り組む建設産業への支援姿勢を打ち出した。その結果、日建連の2017年9月の「働き方改革推進の基本方針」、「時間外労働の適正化に向けた自主規制試行」、同年12月の「週休二日実現行動計画」に合わせる形で、各業種別団体も同様の働き方改革取り組み対応に動いた。
生産性向上への取り組みにも、大きく潮目が変わる局面があった。昨年12月に閣議決定された2018年度の経済成長政策「新しい経済政策パッケージ」だ。同パッケージでは、生産性革命(向上)には、中小企業・小規模事業者へのさまざまな協力と支援が必要であることを明記。さらに実用段階前の新技術の現場実証を進めることにも言及した。働き方改革を具体的に進める上で必要不可欠な生産性向上について、中小企業への強力支援と、建設分野での新たなイノベーション・技術革新を進める姿勢を強く打ち出した形となった。
生産性向上、働き方改革、いずれも、建設産業が取り組む環境は大きく変化した。大手や準大手企業だけでなく、中堅・中小・小規模事業者まで、すべての建設企業に、生産性向上を進めた上で働き方改革に取り組むことが求められることになりそうだ。
建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン |
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時間外労働の上限規制の適用に向けた基本的な考え方 | |
(1) | 請負契約の締結に係る基本原則 |
○受発注者は、法令を順守し、双方対等な立場に立って、請負契約を締結。 | |
(2) | 受注者の役割 |
○受注者(いわゆる元請)は、下請も含め建設工事に従事する者が長時間労働を行うことを前提とした不当に短い工期となることのないよう、適正な工期での請負契約を締結。 | |
○民間工事においては工期設定の考え方等を受発注者が適切に共有。 | |
(3) | 発注者の役割 |
○発注者は、施工条件等の明確化を図り、適正な工期での請負契約を締結。 | |
(4) | 施工上のリスクに関する情報共有と役割分担の明確化 |
○受発注者は、工事実施前に情報共有を図り、各々の役割分担を明確化。 | |
時間外労働の上限規制の適用に向けた取組 | |
(1) | 適正な工期設定・施工時期の平準化 |
○工期の設定に当たっては、下記の条件を適切に考慮。 | |
・建設工事に従事する者の休日(週休二日等)の確保 | |
・労務、資機材の調達等の「準備期間」や施工終了後の「後片付け期間」 | |
・降雨日、降雪・出水期等の作業不能日数 等 | |
○週休二日等を考慮した工期設定を行った場合には、必要となる共通仮設費などを請負代金に適切に反映。 | |
○受注者は、違法な長時間労働に繋がる「工期のダンピング」を行わない。 | |
○予定された工期での工事完了が困難な場合は、受発注者双方協議のうえで適切に工期を変更。 | |
○発注見通しの公表等により、施工時期を平準化。 | |
(2) | ○社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保 |
○社会保険の法定福利費などの必要経費について、請負代金内訳書に明示すること等により、適正な請負代金による請負契約を締結。 | |
(3) | 生産性向上 |
○受発注者の連携により、建設生産プロセス全体における生産性を向上。 | |
○受注者は、工事現場のICT化等による施工の効率化を推進。 | |
(4) | ○下請契約における取組 |
○下請契約においても、長時間労働の是正や週休二日の確保等を考慮して適正な工期を設定。 | |
○下請代金は、できる限り現金払いを実施。 | |
○週休二日の確保に向け、日給制の技能労働者等の処遇水準に留意。 | |
○一人親方についても、長時間労働の是正や週休二日の確保等を図る。 | |
(5) | 適正な工期設定等に向けた発注者支援の活用 |
○工事の特性等を踏まえ外部機関(CM企業等)を活用。 |
国土交通省:平成29年8月28日 建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議申合せ