環二の本格的整備効果は、もう少し後に? |
|
隅田川から見た、築地中央市場跡地。日本最大の市場だった築地中央市場跡地。豊洲移転後、急ピッチで築地大橋とをつなぐ地下トンネルや換気所など築造工事が進む(写真中央から左部分)。 | マッカーサー道路とも呼ばれた環状2号線。遅れていた、新大橋通りから隅田川に架かる「築地大橋」をつなぐ地下トンネル道路工事も急ピッチで進む。築地大橋と旧青果門前交差点とを結ぶ、往復二車線の地上部道路は2019年度末に完成するが、大橋から築地が本格的に結ばれるには、「地下トンネル及び築地換気所ほか築造工事」の完了を待たなくてはならない。 |
選手村 選手宿泊施設は住宅へ
■施設紹介
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村は、中央区晴海で整備が進んでいる。東京都が晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業として2016年4月に着手していた。住宅棟は、選手の宿泊施設として一時使用した後に住居などとして生まれ変わる。大会時、21棟の住宅棟(14階建てから18階建ての板状棟)が選手の宿泊施設となり、オリンピック時には1万8000ベッド、パラリンピック時には8000ベッドを確保する。 また大会期間中は、メディアセンターのほか選手が利用する診療所やオフィシャルストア、チーム歓迎式典や憩いの場となる選手村ビレッジプラザなどが仮設で整備される。 |
選手村(晴海五丁目西地区)整備 経緯と今後の予定
| ||||||||||||||||||||||||||||||
■アクセス
1.都営大江戸線「勝どき駅」から都営バス(都05系統)乗車、「晴海埠頭」下車 2.ゆりかもめ「新豊洲駅」下車徒歩約20分 |
大会後計画 新時代の街へ
東京都が五輪後の選手村のまちづくりについて、事業協力者(民間事業者)と検討を進め、2016年3月にまとめたのが大会後の選手村におけるまちづくり整備計画だ。同年4月には「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」の認可取得、特定建築者制度に基づく特定建築者の公募・選定、建築工事着手へとつながった。
また選手村跡を活用したまちづくり計画は、エネルギー計画や交通計画、晴海ふ頭公園の再整備も一体的に進めているのが大きな特徴。エネルギー計画では、▷水素ステーションを整備し、BRT(バス高速輸送システム)やFCV(燃料電池自動車)への水素供給▷水素と空気中の酸素を反応させ発電させる、次世代型燃料電池の商業棟や住宅共用部への設置――などを盛り込んだ。
さらに交通計画でも、▷BRT発着やカーシェアなどマルチモビリティステーション(交通広場)整備▷船着場併設――を明記した。
特定建築者11社は開発区域のタウンネームを、東京の真ん中にはためく大きな旗のように見えることを意味する、「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」と決め、今夏から分譲販売を開始している。
※特定建築者11社=再開発事業の施行者に代わって建築することができる特定建築者制度に基づいて選ばれた民間事業者。住宅などを中心とした3街区―6街区の特定建築者は、▷三井不動産レジデンシャル㈱▷三菱地所レジデンス㈱▷野村不動産㈱▷住友不動産㈱▷住友商事㈱▷東急不動産㈱▷東京建物㈱▷NTT都市開発㈱▷日鉄興和不動産㈱▷大和ハウス工業㈱の10社と、商業施設の7街区特定建築者の三井不動産㈱。
選手村すぐ脇に外洋への窓口 整備が進む選手村のすぐ脇に「晴海客船ターミナル」がある。大型客船が寄港する、東京港の顔の一つだ。地上6階建て+展望台のターミナルビルは、客船が寄港しない時でも写真撮影などで人が訪れる観光スポットになっている。現代の世界最大級のクルーズ客船は大きすぎてレインボーブリッジを通過できない。そのためレインボーブリッジの通過を必要としない青海地区に新客船ターミナル整備を進めている。 晴海客船ターミナルは、五輪後に選手村跡地で整備される1万2000人が住む新たな街の誕生を見届け、時期は未定ながら廃止されることが決まっている。 |
|
晴海に人口1万2000人の街誕生へ
選手村跡地は人口1万2000人、日本で初めて、街区をまたぐ専用の光ケーブル網のエリアネットワークを使って、街全体のセキュリティ管理や効率的なエネルギーマネジメントを行うなどの特徴を持つ新たな街「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」が誕生する。13haという広大な敷地のなかに選手村として活用された21棟の建築物は、住宅や店舗などが入居できるよう整備され、また、2024年3月には新たに地下1階地上50階建て延べ約8万5000㎡、約700戸のタワーマンションも2棟完成する。 全体まちびらきを迎える2024年3月には、5632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設を合わせて計24棟が整備されている。さらに新たな小中学校、水素ステーション、都心とつながるBRT発着場のマルチモビリティステーション整備が予定されている。 HARUMI FLAGの事業者は販売センターを今年4月にオープンさせ、7月から第1期販売を開始した。第1期販売戸数は600戸で、首都圏最多の供給量だ。また、昨年12月には「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」が、米国の環境認証を2つ同時に取得。新たな街誕生へ着々と進みつつある。 |
HARUMI FLAGの完成模型 |
晴海4丁目施設の完成予想 |
人口急増へ対応、ビレッジプラザ跡に行政施設
晴海5丁目ブロックに1万2000人に及ぶ新たな街が誕生することから、行政も新たな施設を整備して行政サービスの対応を進める。東京都中央区は6月、公共複合施設「晴海4丁目施設」の基本設計案をまとめた。大会期間中の選手の生活を支える仮設施設「選手村ビレッジプラザ」の撤去跡地に整備する新施設は、中央区の特別出張所や保健センター、図書館、幼保連携型認定こども園などで構成される。ビレッジプラザ同様に木材を積極的に利活用する計画。2021年度に着工し、HARUMI FLAGまちびらきの2023年度に開設する予定だ。
東京ビッグサイト(IBC/MPC) 世界発信の中核拠点
■施設紹介
約26万5700㎡の敷地に、展示ホール、国際会議場、レセプションホールなどを備える日本最大のコンベンション施設。大会時には、報道・放送センターとして世界へ向けたオリンピック・パラリンピック報道の発信拠点となる。
■アクセス
※IBC=国際放送センター、MPC=メインプレスセンター
1.りんかい線「国際展示場駅」下車徒歩約7分 2.ゆりかもめ「国際展示場正門前」下車徒歩約1分 3.都営バス(東16)または(東05)「東京駅」から乗車、「東京ビッグサイト」下車約1分 4.都営バス門19「門前仲町」から乗車、「東京ビッグサイト」下車徒歩約1分 |
環二脇 水上バス発着場も 多くの著名橋がかかる隅田川で最も新しく最も東京湾近くにかかる「築地大橋」のたもとに広がる「浜離宮恩賜庭園」。江戸時代には、江戸城の出城機能も果たした徳川将軍家の庭園。明治維新後には皇室の離宮となり「浜離宮」の名称を変えた。都内にある江戸の庭園で唯一現存する海水の池もある。水上バス発着場もあり、ここから五輪競技場でもある、お台場海浜公園や葛西臨海公園へ船で行くこともできる。 また、水上バス発着場のある築地川の向かい側は、選手村街区を横切る環状2号線が新橋、虎ノ門方面へ伸びている。 |
|
浜離宮恩賜庭園内にある水上バス発着場近くから、隅田川対岸の勝どき、その向こう側には選手村の晴海地区が広がる |