議事進行を行う飯塚会長 |
監査報告を行う 中島孝昌監事 |
定時総会は午後4時に開会。始めに事務局から「正会員数278社中、201社が出席(委任状提出192社を含む)しており、定款第17条に規定する総会成立に必要な定足数を満たしている」旨の報告があり、次いで飯塚恒生会長が「令和2年を迎えた早々、新型コロナウイルスが世界的規模で蔓延し、東京オリンピック・パラリンピックの延期をはじめ、緊急事態宣言によって、人々の生活が脅かされるなど多方面で大きな影響が出ています」としたうえで、「世界経済はリーマンショック時を上回る大打撃を受けており、日本のみならず全世界で先行きが懸念されているところであり、会員の皆様にも少なからず影響が出ているものと存じます。一刻も早い収束を願うものであります」と挨拶を述べた。その後、定款第15条の規定により飯塚会長が議長となり、清水高慶氏((株)清水工務店代表取締役)を議事録署名者に指名し、議事を進めた。議決事項は、(1)令和元年度決算、(2)理事43名・監事4名選任の2議案で、それぞれ満場一致で承認可決された。また、(1)令和元年度事業報告、(2)令和2年度事業計画並びに同収支予算、(3)都内建設工事に係る当協会の基本方針、(4)新型コロナウイルス感染症に関する要望、(5)当協会・東京土木施工管理技士会事務局の体制等の5点について報告が行われた。
任期満了により退任した左から 藤田副会長、飯塚会長、伊藤副会長 |
退任に当たり飯塚会長は「3期6年、会長職を務められたことに感謝したい。会員の皆様に対して少しずつでも貢献することができた」と結んだ。
最後に、退任する飯塚会長、伊藤寛治副会長、藤田謙副会長に花束が贈られ、伊藤副会長と藤田副会長も退任の挨拶を行った。
なお、新型コロナウイルス感染防止対応のため、総会後の理事会は、書面決議により執り行われ、5月27日に正副会長が決定した。
5月27日の理事会で就任した新会長に今後の活動や舵取りなど、また、3副会長に今後の抱負についてお聞きしました。
今井雅則 新会長インタビュー
社会貢献と経営基盤強化を2本柱に
――就任に当たっての抱負をお聞かせください。
今井雅則会長 |
歴史がある東京建設業協会の会長に就任して、身の引き締まる思いです。その中でまず、強調したいことが2点あります。1点目は、協会の役割です。活動方針にもありますが、建設産業は存在価値とも言える社会資本の整備・維持管理、(災害発生などの)有事対応を通じて、社会に貢献しています。さらに、気候変動等の環境問題にも貢献していく責任がありますが、個社で対応が難しいことがあるのも事実です。ですから今後も建設業が社会貢献をできるように、個社で対応が難しいものは協会が旗を振って対応していきたいと思います。
2点目は個社の経営基盤の強化です。建設産業が社会貢献していくためにも個社の経営基盤強化が欠かせません。
――新型コロナウイルス感染症対応、東京2020大会延期など取り巻く環境も大きく変わりました。
これまでと同様、公共発注を増やしてもらうためのお願いは必要です。その一方で会員企業の受注先(顧客)は民間受注の割合も多く、コロナ問題で深刻化している経済低迷からの回復も重要です。今後、会員の皆様と、どこにどのような要望をしていけば良いのか検討していきたいと思います。
その上で、建設業としてのコロナ対応の喫緊の問題は、労働災害への対応です。さらに今後は熱中症対策も重要になります。この対策の大前提は、現場で従事する職人を含む全ての建設業従事者の命を守らなければならないことです。例えば現場へのサーモグラフィー(体温感知システム)導入など、職人の命を守ろうとする手立てを講じることもあるでしょうが、様々なコロナ対応で現場の施工効率が落ちるのは確実です。このような場合、協会として様々な技術的なものも含めた情報提供は行いたいと思いますが、最終的には個社がそれぞれの現場で生産性を上げなければなりません。
大会前及び大会期間中の東京都内の交通規制に対応した現場運営や、発注者との工程・工期に関する対応については、開催時期がまた近づいた時に、会員企業の皆様に情報提供をしていきたいと思います。
――改めてですが今後の活動で重視することはなんですか。
SDGs(持続可能な開発目標)が宣言した、地球上"だれ一人取り残さない"=1社も取り残さないということを念頭に置いて活動をしていきたいと思っています。この意味するところはまず、飯塚前会長が重視した、"会員企業の大半を占める中小企業の声を大事にする"を引き継ぐということです。会員の皆様1社1社を大事にしなければ、協会の存在意義も問われます。もう一つの意味は、会員企業には協力企業がいるということです。建設産業全体の問題として、様々な課題に取り組んでいきたいと思います。
その上で取り組まなければならないことは、働き方改革や生産性向上などたくさんありますが、冒頭で触れたように、建設業の社会貢献と個社の経営基盤強化がまず必要です。これがなければ災害対応もできません。また、個社の経営基盤強化がなぜ必要なのかということについても分かりやすく伝えていく必要があります。例えば、生産性の問題について言えば、社(企業)と社員の生産性、さらに現場の生産性という、生産性一つ取り上げても二つの側面があります。現場の生産性では協力企業と職人も対象になります。担い手確保など、問題の多くは、側面の違いによって内容も違います。こうしたことをはっきりさせて今後の意見集約をしていきたいと思います。
職人の処遇改善では、本格的に稼働している建設キャリアアップシステムがあります。まだ必要性について「腹落ち」されていない部分があるかもしれませんが、システムは職人さんにとっても実利とステータスの両面で役に立つはずです。必要性と重要性について理解してもらう努力は今後もしていきたいと思います。
(いまい・まさのり)1978年3月大阪大学大学院工学研究科前期課程建築専攻修了後、同年4月戸田建設入社。執行役員、常務執行役員大阪支店長、執行役員副社長などを経て、2013年6月から代表取締役社長。67歳。
3副会長に聞く
コロナ影響 要望きちんと伝えたい
寺田光宏副会長(新任) |
コロナの影響により事業環境が大きく変わるなかで、各企業の不安が増している。会員の要望を踏まえながら、しかるべきところに、しかるべき時にしっかり伝えていける体制を目指したい。当会の目的の一つに担い手確保・育成がある。また職人の処遇改善も喫緊の課題であり、具体策を確実に実行していきたい。
東京土木施工管理技士会の会長としては、技士の能力向上、モチベーションアップを考えながらますますの発展に尽くしていきたい。
(てらだ・みつひろ)1979年3月徳島大学工学部建設工学科卒業後、同年4月東急建設入社。取締役常務執行役員、取締役専務執行役員、代表取締役副社長執行役員などを歴任し、2019年6月より代表取締役社長。63歳。
会員の声 さらに伝わるよう努力
乘京正弘副会長(新任) |
基本的には、これまでの活動を引き継いでいきたい。会員の大半を占める中小企業の声が、要望として色々なところに伝わるようになってきた。さらに進化させて、会員企業の皆様の要望が実現できるよう、盛り立てていきたい。コロナ対応では、「生活様式を変える」ことが求められている。広く意見を聞きながら、建設業の事業を通じて発展し、東京都や都民の方々に貢献できるよう活動していきたい。
(のりきょう・まさひろ)1980年3月京都大学大学院工学研究科交通土木工学専攻修士課程修了後、同年4月飛島建設入社。取締役常務執行役員、取締役専務執行役員、代表取締役執行役員副社長などを歴任し、2017年6月代表取締役社長。65歳。
コロナ禍対応へ建設業の貢献を考える
松嶋潤副会長(再任) |
協会が大きな柱に据える「働き方改革」について引き続き取り組んでいきたい。ただ今期は、新型コロナによって社会情勢が大きく変わった。そのなかで、東京都や会員企業の声をよく聞いて対応することが必要だ。過去のリーマンショックと比較されるが、コロナ禍のなかで、建設業、建築・土木がどのように貢献できるか考えながら活動していきたい。建設キャリアアップシステムについては、中小企業は若干不安を持っている。会員全ての利益を守れるよう活動していくことも大事だ。
(まつしま・じゅん)1980年3月東京大学工学部建築学科卒業後、同年4月鹿島建設入社。執行役員、常務執行役員などを歴任し、2017年4月専務執行役員東京建築支店副支店長。64歳。