出典:発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会(令和4年度第1回)資料 国土交通省 |
出典:発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会(令和4年度第1回)資料 国土交通省 |
GX、CNへの取り組みの切り口は様々です。すでに国土交通省は「住宅・建築物、インフラ分野」と「運輸分野」について、クリーンエネルギーへの転換に向けた取り組み内容を打ち出しています。建築物省エネ法改正や港湾、空港、ダムなどの各分野での取り組み、環境に配慮した建設機械・材料開発への支援等です。
そのような中で開かれた発注者責任懇談会で、国土交通省は「建設調達における低炭素化の取り組み」や「建設事業のサプライチェーン排出量(Scope3)評価での検討すべき事項」を例示し、土木・建築分野の低炭素公共調達が進む各国の状況も説明しました。また、入札については先進的なオランダの制度を別途紹介しています。発注者の視点で、官民のGXの取り組み進展に何が必要かという切り口からも議論が始まりました。
GX、CNを新たなテーマに加え議論を開始した発注者責任懇談会に対し、国土交通省は「サプライチェーン(供給連鎖)評価にあたり検討すべき事項」を例示しました。
Scope3(エネルギー以外の間接排出)を含むサプライチェーンを通じた排出量算定は、環境省と経済産業省がガイドラインを公表していることを踏まえ、▷建設分野の材料・技術・工法は、建設事業のScope3として算出できる形式であることが求められる▷Scope3には15のカテゴリが設定されており、建設技術等についても、それぞれに即した評価を行う必要がある――との考え方を提起しました。
ちなみに建設企業のScope3活動で排出量度合いが15カテゴリの中で最も大きいのは「11(販売した製品の使用)と「1(購入した製品・サービス)だと言われています。「11」は自社施工した建造物の使用に伴う排出量であり、「1」は主要資材の採石やアスファルト、セメント、生コンクリートなどが対象だからです。
出典:発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会(令和4年度第1回)資料 国土交通省 |
公共発注者が公共調達でCNを念頭に置いた低炭素化の取り組みとして、工事契約段階や施工中、さらには完成時などで建設企業の様々な低炭素化を評価する動きも進み始めています。言い換えれば「公共調達の脱炭素化へ向けた入札契約制度改善」です。発注者責任懇談会でも、2021年から中部地方整備局で始まった「カーボンニュートラル対応試行工事」や、2022年度に新設された北海道開発局の「北海道インフラゼロカーボン試行工事」の2つが紹介されました。
公共調達で建設現場の脱炭素を支援する動きは自治体にも広がりつつあります。2030年カーボンハーフ、2050年カーボンニュートラルを鮮明に打ち出す東京都は、入札時に脱炭素化の取り組みを評価するための施策検討を進めています。脱炭素化評価が入札契約制度へ徐々に浸透し始めています。
出典:発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会(令和4年度第1回)資料 国土交通省 |
出典:発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会(令和4年度第1回)資料 国土交通省 |