当協会は6月11日、7月23日に開会式が開かれる「東京2020大会」へ向け、千代田区の富士ソフトアキバプラザで「東京2020大会期間中の工事調整に関する説明会」をオンラインで開いた。153人が申し込んだセミナーでは、3月の競技会場周辺の交通対策更新や練習会場ルート更新、聖火リレールートの追加など新たな更新情報を踏まえた路上工事の抑制が要請された。
説明会では、東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部の山﨑かすみTDM担当課長が、「東京2020大会輸送について」と題し、▽東京2020大会延期発表から現在までの検討状況、▽コロナ禍での交通状況と大会時の交通マネジメント、▽大会時の交通対策、▽東京2020大会の準備に向けて、▽東京2020大会時の工事調整――をテーマに解説した。
参加者からは、「(規制を受ける)路上工事の範囲は」「(関東圏域の物流大動脈の一つである)357号線の規制内容は」、「生コンの打設は可能なのか」、「これだけ広範囲に工事を抑制すると抑制対象になっていない工事も影響を受けることを懸念する」など様々な質問と意見が相次いだ。
工事調整にかかる経費と工期設定については、既発注工事と新規発注工事に分け、設計変更などで適切に対応することがすでに打ち出されている。また近年、確保が困難と言われている交通誘導員についても、同一現場に複数の警備会社の交通誘導員を配置できる例が明記された。
*最新の都庁発注工事の調整、道路占用工事などの路上工事抑制要請の路線やエリアの詳細情報は、東京建設業協会ホームページや、東京都オリンピック・パラリンピック準備局の「2020年+1 東京2020大会輸送について」で確認できます。
東京2020大会期間中に工期が重なっている都庁発注工事の件数(※2021年2月28日時点の契約済工事) |
◆工事発注の考え方
●その年に必要な工事を着実に実施することを前提
●平準化に努め、発注時期を適切に調整
( 2021年度の工事は、年度当初の4月に年間発注計画を公表)
●交通への影響を抑えるために、発注方法等を工夫
【取組例】
・大会期間が準備期間、工場製作期間となるような発注
・大会関係地域とその他エリアを組み合わせて発注
・単価契約等の小規模工事は、期間中は大会関係地域以外で施工等
◆具体の工事調整の取組の検討
<既発注工事>
●発注者と受注者で早期に協議を開始し、大会輸送影響度マップや競技スケジュール等を踏まえ、施工計画を変更
<新規発注工事>
●発注時に工事調整の取組を特記仕様書で明示
●工事契約後、発注者と受注者との協議の上、車両削減等に向けた具体的な取組内容を決定し、施工計画に反映
【取組例】
(A) 工事発注時期の調整
・発注の前倒し・後倒し
(B) 工事の一時休止
・現場休工日・夏季休暇期間を大会期間中へ変更
(C) 工事車両出入り調整
・車両の出入り時間の早朝・夜間等への振替
・資材等の搬入を大会前に前倒しし、期間中の搬入回数を削減
・廃材等を集約し、期間中の搬出回数を削減
・工事関係者の通勤を車から公共交通へ変更等
(D) 工事を夜間に振替
・地先状況等も勘案したうえで実施を検討
(E) 混雑回避
・工事車両の移動の際に、首都高速道路やORN・競技会場周辺を避ける
◆工事調整に係る経費・工期設定
●大会に起因した工事調整に係る経費・工期は適切に見積もる
●必要な経費の積算・工期の設定は、原則、既存の積算基準や設計変更ガイドライン等に基づき対応
<既発注工事>
●契約約款に基づき、設計変更で適切に対応
<新規発注工事>
●発注時に工期等を適正に設定し、必要な経費は適切に積算、条件が変更となった場合は、設計変更等で適切に対応
【必要な経費例】
・一時休止等に伴う保安措置などの現場管理費
・工事の夜間への振替に伴う、労務費などの変更
・発生土処分先の変更に伴う運搬費・処分費の変更
◆交通誘導員の確保に向けた調整
●大会中の工事に係る交通誘導員の確保が困難な場合は、同一現場に複数の警備業者の交通誘導員を配置できるよう施工計画を検討
【同一現場に複数の警備会社の交通誘導員を配置できる例】
・建物の入口と出口で車両動線が分かれている場合など、担当エリアが分かれており、責任の所在が明確な場合
・同一作業帯内に配置する誘導員を、日や週ごと等で警備業者を分ける場合
※具体的な事例は、現場の状況によって異なる
◆その他
●お盆期間を含むオリパラ移行期間の8月10日~23日は、大会に係る工事調整の対象期間外
( ただし、練習会場ルート、聖火リレールートについては、一定の抑制を行う→詳細はP4参照)
●この基本的な考え方は原則を示したもので、都庁各局
工事の実態に応じて運用するものとする
●本取組方針は、必要に応じて見直しを行う。
◆建設発生土の受入調整
●海の森水上競技場に近接し、関係者輸送ルート等と施設への搬出入ルートが重複している建設発生土受入施設で、混雑緩和のために受入を調整
□対象期間
7月19日~8月9日、8月24日~9月5日
□対象工事
・都庁発注工事のほか、以下3施設で受入等を行っている他の発注主体の工事も同様の扱い
□受入調整の概要
※1:(株)建設資源広域利用センター(UCR受入地)や民間事業者で代替受入
・主なUCR受入地の所在地︓千葉県流山・市川、埼玉県さいたま・三郷等
・UCR受入地の受入時間︓昼間(標準:8:30~16:30)
夜間(受入地ごとに異なる)
※2:期間中の受入が必要な工事は個別調整を実施
※3:施設周辺の関係者輸送ルート・夜間競技の時間等を避けて車両の搬入・搬出を調整
※4:日祝は通常通り休業
◆交通対策の検討に関する情報提供等
●工事調整の具体の取組を検討できるよう、大会輸送や交通対策等に関する情報を広く提供
●交通対策等の情報に変更等が生じた場合は、早期に提供
<主な内容>
・関係者輸送ルート(ORN・PRN)
・観客輸送ルート
・重点取組地区16地区
・会場周辺交通対策
・輸送運営計画
・大会輸送影響度マップ
・聖火リレールート
・企業のアクションプラン作成に向けた支援
( コンサルタントによる無料相談、TDMハンドブックの活用等)
※大会輸送や交通対策等に関する情報は、「2020TDM推進プロジェクト」
ホームページで公表⇒https://2020tdm.tokyo
◆工事発注者や受注者団体への協力依頼
●工事発注者(公共・民間)や、業界団体を通じて工事の受注者に対して、広く工事調整への協力を依頼
<工事発注者>
●公共事業者(国・自治体等)
都の取組方針に沿った工事調整の取組を依頼
●民間事業者
・都の取組方針を準用し、区部、特に大会関係地域において、大会期間を外した工期設定・発注を依頼
・受注者と協力して、工事車両削減に向けた具体的な取組の検討を依頼
<工事受注者>
●建設業界団体
・大会期間中に実施する工事では、混雑箇所・時間を回避した工事関係車両の移動、資材等の搬入前倒しや廃材等の搬出回数の削減、現場への通勤手段の変更等を依頼
◆路上工事(道路占用工事等)の抑制
●広く工事調整の協力を依頼していくが、そのうち特にORN・PRN等の競技会場周辺の道路では、路上工事に伴う車線規制による混雑を回避する必要があるため、道路占用工事の事業者等に対して、今後、改めて路上工事の抑制について協力を依頼する予定
□対象路線
■大会関係地域①の都道(車道・歩道)
・関係者輸送ルート(ORN・PRN)
・観客輸送ルート
・ 競技会場周辺(通行規制道路、迂回道路、迂回道路内)
■練習会場ルートの都道(車道)
■代替ルートの都道(車道)
■聖火リレールートの都道(車道・歩道)
※港湾局所管道路も含む
※国道・区市道管理者についても同様の扱いを依頼予定
□抑制対象期間
■大会関係地域①
・昼間:全競技会場共通
7月19日~8月9日、8月24日~9月5日
・夜間:競技日程・時間によって夜間施工時間を調整
■練習会場ルート
・昼間:6時~22時
対象期間は別添資料②参照
■代替ルート
・昼間:8時~21時(片側1車線以上確保できれば施工可)
7月19日~8月9日、8月24日~9月5日
■聖火リレールート
・リレー前日6時~当日交通規制終了まで(区間ごと)
7月9日~7月23日、8月20日~8月24日
※各区間の日程は別添資料④参照(オリ)
※パラ聖火リレーのルートや詳細な日程等は、公表後に提示予定
□対象工事
・都の工事のほか公共・民間すべての路上工事(道路占用工事等)が対象
※ 緊急工事や沿道建物へのライフライン供給工事、路面清掃等は除く
□その他
・路上作業(道路使用)も同様の扱いとなるよう関係機関と調整
・道路占用等の工事に係る手続きは、期間中も実施
・詳細は、別添資料①~④参照