提言「『首都直下地震』発災時における応急復旧体制を整えるために」
このたび当協会「都市機能更新研究会」において、「高度防災都市・東京」の早期実現のため、発災時に行政と締結している協定に基づく応急復旧業務を円滑に推進するための方策について検討を重ね、提言を策定いたしました。
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は東北から関東にかけての東日本一帯に甚大な被害をもたらし、首都圏においても最大震度6強を観測、多数の死傷者を出し、建物の倒壊やライフラインの停止、液状化の発生等の被害が生じました。東京では公共交通機関のマヒにより、「帰宅困難者問題」がクローズアップされました。
当協会では、東京都各局及び国土交通省関東地方整備局と「災害協定」を締結しており、道路点検や障害物除去など、初動の応急復旧活動が求められていますが、首都直下地震などの大災害が発生すれば、帰宅困難者によりその活動に支障を来たす恐れがあり、建設業の社会的責任を果たすことができなくなるのではないかと危惧しています。
このようなことから、「東日本大震災」の教訓を生かし、「提言」内容の実現に向けて行政をはじめとする関係要路に働きかけを行うとともに、広く一般の方々にも、建設業の初動対応の重要性の理解促進に努めてまいります。
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※本書の著作権は東京建設業協会および各著作権者に帰属します。
内容紹介
第1章 大地震の発生により、東京はこうなる
- 東日本大震災における都内の被災状況
- 東日本大震災における当協会・会員の取り組み
- 「首都直下地震」で想定される都内の被災状況
- (1)中央防災会議の想定
- (2)東京都防災会議の想定
第2章 「首都直下地震」発災時に想定される問題点
- 1. 被災者の避難所・帰宅困難者の一時避難所の問題
- 2. 大量の帰宅可能者(徒歩帰宅者)の問題
- (1)二次災害を引き起こす危険要因
- (2)初動の救援活動、応急復旧活動の障害
- 3. 応急住宅の問題
- 4. 建設業界にとっての問題
- (1)帰宅困難者への対応
- (2)災害協定の実効性の確保
- (3)資機材、輸送経路の確保
- (4)東日本大震災を教訓とした課題の検討
第3章 初動体制を整えるための提言
- 行政に対して
- (1)帰宅困難者抑止誘導の、新たなルール・アクションプランづくり
- (2)安否確認手段の整備・確保と情報提供
- (3)避難所の拡充・耐震化促進
- (4)耐震改修・建替え等の補助・助成制度の拡充強化
- (5)応急住宅の確保方策
- (6)建設業の初動円滑化への支援・配慮
- (7)建設企業のBCP策定、協定協力への評価拡充
- (8)災害対応の資機材について、行政の調達拡大と備蓄場所の確保
- 2. 建設業が社会的責務を果たすために
- (1)建設企業のBCPの普及促進・着実な改善・拡充
- ・自社の帰宅困難者を出さないための社員教育と事前準備の実践
- ・都民への、帰宅困難問題や道路啓開についての周知協力
- ・災害発生時初動の計画・行動指針の整備、役割分担の明確化
- (2)「応急危険度判定員」への登録と活動の推進
- (3)地域コミュニティの拡充、教育機関・NPO・市民団体等との連携
- (4)当協会事務局と会員企業との連絡・協力体制の強化