個人への安全指導の量は「現状でちょうどよい」と捉えている者が過半を占める(60.1%)。
一方で「多い」とする者も少なからず存在した(35.1%)。
安全指導は、その頻度・強度が度を越せば「逆効果(相手は耳をふさいでしまう)」となる。今回の数値を踏まえれば「指導は現状の7掛け程度(作業員の自主性をより尊重)」とするのが妥当なのかも知れない。
個人への指導内容の難易度は「現状でちょうどよい」といえる(普通・やさしい=87.6%)。
難易の判断には個人差があり、難しすぎず、やさしすぎない中庸のレベルとして、「普通」の数値(83.0%)は妥当と考えられる。
リスクアセスメントの理解度は「高い」としてよい(理解している=84.5%)。
平成18年の導入から5年を経て、確実に浸透している状況がみてとれる。
しかしながら理解していない者(理解していない・職長まかせ=13.9%)も存在しており、多少の不安は残るものの、制度の導入の第一段階としては「ほぼ導入に成功した」といってよいだろう。
リスクアセスメントの教育は、事業者(会社)、元請、またはその双方によって行われている。これには元請が組織する取引業者災害防止協議会等が教育を担っているケースも含まれているだろう。
(会社による=67.8%、元請による=43.5%、複数回答)
リスクアセスメントの実践度は「高い」としてよい(実践している・職長まかせ=92.2%)。
なお職長まかせとしている者(11.3%)は実践している者に組みこんで考えたい。制度導入の5年目であり「職長まかせは許容範囲内」としてよいと思うためである。
むしろ努力規定であるとして実践していない者が存在すること、またそんな彼らへのフォローアップ(まずは「職長まかせ」への移行か)に思いを巡らすべきである(実践していない=6.1%)。
リスクアセスメントの効果については、認める者が「ほぼ100%」であった(効果がある・少しは効果がある=94.8%)。
この傾向は高年層ほど高かった(効果がある=68.9%)。
睡眠時間には当然個人差が存在するが、肉体疲労の大きい建設作業員としては、最低6時間の睡眠時間は必要と思われる。しかし現場の作業員の「4人に1人」は6時間未満の短い睡眠しかとらずに現場に入場・作業 していることになる(6時間未満=25.4%)。
この傾向は若年層ほど高かった(6時間未満=31.3%)。
朝食は「大多数」が摂る習慣にあるが、そうでない者も少なくない(ときどき食べる・食べない=18.5%)。
朝食摂取の効用や肉体疲労を伴う建設業の特性を勘案すれば、朝食摂取は現場入場前の不可欠要素となってしかるべきである。
肉体疲労については、自覚する者が「ほとんど」である(ある・ややある=88.7%)。
建設業が屋外産業であり、肉体労働であることを勘案すれば、この数値は当然の結果といえる。
ストレス(精神疲労)は、肉体疲労ほどではないが高値を示した(ある・ややある=77.1%)。
業務起因のものについては、低コスト化による人員削減、短工期施工による時間外労働の増加が 関与しているものと思われる。
この傾向は若年層・中年層に高かった(「ある」:若年層=32.3%、中年層=31.7%)。
リフレッシュは、ほとんどの者が何らかの手段で行っているという結果になった。
各年齢層とも「自宅でくつろぐ」のが主流である。一方で「特になし」とした者が意外に多いこと(7.1%)を看過してはならない。予備軍を含めた「メンタルヘルス不調者」の全体割合を示す数値として捉えることも可能だからである。