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建設ICT読本2022

HOME >> Ⅳ 土木工事におけるICT施工の活用について >> 1. ICT施工とは

1. ICT施工とは

建設現場のICT施工とは、生産性及び品質の向上を図るために施工現場で建設ICT(Information and Communications Technology:情報通信技術)を活用することをいう。ICT施工のメリットとして、施工の効率化・合理化、安全性や品質の向上、工期短縮などを挙げている。
また国土交通省では平成28年にICT導入協議会を設置し、建設業界の生産性向上を目的とした「i-Construction」という取り組みを開始している。 i-ConstructionにおけるICT施工は測量、設計・施工計画、施工、検査までのあらゆる建設生産プロセスにおいて、ICTを全面的に活用することにより、生産性と品質の向上を図ろうとするものである。
建設現場のICT施工のイメージは図1-1、図1-2のとおりである。

図1-1 ICT施工のイメージ
図1-1 ICT施工のイメージ
出典:国土交通省「i-Construction委員会報告書参考資料(H28.5)」
図1-2 ICT施工(土工)のイメージ
図1-2 ICT施工(土工)のイメージ
出典:国土交通省「ICT建設機械による施工について(H28.8)」

国土交通省はi-Constructionにおける業務効率化の取り組みの中で、3次元データの活用を重要視しており、平成24年3月に定められた「TSによる出来形管理要領(土工)」(図1-3)に加え、平成29年3月「地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)」(図1-4)、平成30年3月に「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)」(図1-5)、令和2年3月に「ステレオ写真測量(地上移動体)を用いた 土工の出来高算出要領(案)」(図1-6)等が加えられている。尚これらは令和3年3月に「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」として再編されている。

図1-3 TSを用いた出来形管理要領(土工編)(平成24年3月)より
図1-3 現場における作業手順例
出典:国土交通省 「TSを用いた出来形管理要領(土工編)」
図1-4 TLSによる出来形管理機器の構成例
図1-4 TLSによる出来形管理機器の構成例
出典:国土交通省 「地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)」
図1-5 空中写真測量(UAV)を用いた出来高管理のデータの流れ
図1-5 空中写真測量(UAV)を用いた出来高管理のデータの流れ
出典:国土交通省 「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)」
図1-6 ステレオ写真測量(地上移動体)を用いた土工の出来高算出
図1-6 ステレオ写真測量(地上移動体)を用いた土工の出来高算出
出典:国土交通省「第4回ICT導入協議会 基準類改訂概要説明資料(H29.3)」

建設現場のICT施工の範囲は、前述のとおり測量、設計・施工計画、施工、検査までの工事施工に関わる範囲であるが、i-Constructionではその後工程となる維持管理の効率化にも配慮し(図1-7)、建設生産プロセス全体をシームレスに3次元データで繋ぎ、更にはロボット、AI技術の開発や自動運転に活用できるデジタル基盤地図の作成、国際標準化の動きと連携し、バーチャルシティによる空間利活用に繋げる等、社会への実装へと深化を目指している。(図1-8)

図1-7 ICT活用の範囲
図1-7 ICT活用の範囲
出典:国土交通省「ICT施工の対象校種の拡大に向けた取組」
図1-8 ICT活用の範囲
図1-8 ICT活用の範囲
出典:国土交通省「i-Constructionの推進状況(H30.6)」

国土交通白書2019では、従来施工に対しICT施工での省力化が明らかである調査結果を示し、i-Constructionの推進により、建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させることを目指している。(図1-9)

図1-9 ICT施工による生産性の向上
図1-9 ICT施工による生産性の向上
出典:国土交通省「i-Constructionによる生産性向上(H30.6)」
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