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建設ICT読本2022

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2. ICT施工に利用する技術の紹介

(1)TS(Total Station)
TS(トータルステーション)とは測量の基本要素である角度と距離を同時に計測する測量機器のこと。角度を計測するセオドライト(トランシット)と距離を計測する測量儀(光波距離計)を組み合わせた観測により得られた角度と距離から、新点の平面的な位置を求める。計測データを通信により受渡しする「自動追尾型」の場合、1人でも測量できるため作業効率がさらに上がる。

(2)GNSS(Global Navigation Satellite System)
GPS(Global Positioning System)やGLONASS(Global Navigation Satellite System)など衛星を利用した測位手法のこと。ICT施工では、既知点のGNSSデータと移動しながら取得したGNSS データを、実時間(リアルタイム)で測位するRTK-GNSSという手法をよく利用する。

(3)地上型レーザースキャナー(TLS: Terrestrial laser scanner)
照射されたレーザー光線の反射強度をスキャニングする(読み取る)ことによって、計測対象物までの距離を測定し、 面のデータを点の座標の集まり(点群データ)として取得する機器のこと。

(4)無人航空機(UAV: Unmanned aerial vehicle)
人が搭乗しない(無人機である)航空機のこと。通称としてドローン(英: drone)と呼ばれることもある。

(5)3次元デジタルデータの活用
BIM/CIMによる3次元CADデータおよび3D測量データやICT建機から得られる3次元データを活用して、測量計算機能や、土量計算機能などをシームレスに融合させることで、施工前現場の状況(現況の座標や形状)と設計図面データのみならず、出来形データまでを重ね合わせることができる。それにより、工期の短縮(コスト削減)と品質の高い信頼性のある施工が実現し、高い評価を得ることができる。

(6)地理空間情報の活用
建設現場は、地理空間情報(「空間上の特定の地点または区域の位置を示す情報」と定義されている。つまり、位置情報(時刻情報を含む)に関連づけられた様々な情報のこと)を用いたMC(マシンコントロール)やMG(マシンガイダンス)などのICT施工で導入が進んでいる。MCにより、施工のための測量や丁張設置、さらには施工中の品質管理や施工後の出来形管理が省略でき、MCではバックホウなどの操作をオペレータにガイドすることができる。3次元空間の高度な地理空間情報を取得することにより、今後さらなる高精度なICT施工が広がり、建設現場の省力化につなげることができる。
地理空間情報において、複数の情報が地図上に仮想的に一元化されつつあり、また、衛星測位技術がさらに高度化されれば、Apple社のiPhoneなどのカメラ付きスマートフォン端末で、撮影した景色に様々な情報、例えば、肉眼では確認できない地下埋設物の情報や各種台帳、3次元設計図面などを重ねあわせることも可能になる。自動車の安全支援システムで利用されているステレオカメラの技術はMCを備えたICT建機に実装し出来高管理に利用が可能となってきており、ロボット掃除機等で利用されている、単眼のカメラであっても移動しながら撮影をすることにより位置情報を取得するSLAM(自己位置の推定と周辺のマッピングを同時に行う)技術なども建設現場での応用が進んできている。また、LiDAR(ライダー:離れた場所にある物体の形状や距離をレーザー光により測定するセンサー)付きのiPhoneでは高精度な3次元測量が可能であり、これらの身近な技術により近い将来、建設現場からトランシットやレベルといった測量機器がなくなる日が来るかもしれない。

図2-1 マシンコントロール(MC)
図2-1 マシンコントロール(MC)
出典:国土交通省近畿地方整備局「建設ICT導入研究会」
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