2. BIM/CIMにおける重要な用語
BIM/CIMを知る上で重要な用語をいくつか説明する。
(1)フロントローディング
フロントローディングとは、「前倒し」という意味で、施工中に集中する業務を前工程で検討、対応することで、施工中の業務を軽減することである。具体的には、仕様の変更や手戻り等をBIM/CIMにおいて事前に想定することで、品質向上や工期の短縮化に効果がある。
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図2-1 フロントローディング
出典:国土交通省「初めてのBIM/CIM」 |
(2)コンカレントエンジニアリング
コンカレントエンジニアリングとは複数の工程の同時作業を可能にすることを言う。製造業の開発プロセスで使われている手法であるが、施工中であれば情報をBIM/CIMで共有することで、メールなどでデータをやり取りしながら業務を進めるのではなく、クラウド上にあるデータで同時に検討などの業務を行うことができる。
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図2-2 コンカレントエンジニアリング
出典:国土交通省「初めてのBIM/CIM」 |
(3)立法モデリングの手法(ワイヤーフレーム、サーフェイス、ソリッドの違い)
3次元モデルの手法として、3種類あり、単語としてよく使われる。それぞれに特徴があるので覚えておくとよい。
ワイヤフレームモデル:頂点と稜線で構成され、立体の輪郭を表現されたもの
サーフェイスモデル:ワイヤフレームモデルに加え、面を貼ることで表面も表現されたもの
ソリッドモデル:サーフェイスモデルに加え、コンクリートや土など、立体の中身についても表現されたもの
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図2-3 立法のモデリング手法 |
(4)TIN(ティン)
ティンとは、1つの面を三角形で表現する手法である。点群データの点同士を三角形で繋ぐことで、3Dモデル化されるため、地形データでよく使われている。
(5)LiDAR(ライダー)
ライダーとは、「light detection and ranging」直訳で光による検知と測距ができるシステムで、近年ではiPadProやiPhoneProにも搭載され、手軽にスキャンすることができる。
(6)IFC(アイエフシー)
アイエフシーとはデータ形式で、building SMART International が策定した3次元モデルデータ形式である。土木分野を対象にした検討が進められている。
(7)LandXML(ランドエックスエル)
ランドエックスエムエルとは、土地造成、土木工事、測量のデータ交換のためのオープンなフォーマットで、2000年に米国で官民から成るコンソーシアムにより開発運営が開始され、国総研が「データ交換標準」を策定している。
(8)クリエイティブ・コモンズ
非営利組織による新しい著作権のルールで、「CC-BY」とは条件を守れば自由に使ってよいと言う意思表示で、他にも種類があるので再利用する際にはどのような条件なのか確認する必要がある。
(9)LOD(エルオーディー)
エルオーディーとは、「Level of Detail」の略称で、3Dモデルでの精度とか細かさの程度のような意味を表す。LODには100、200、300、(350)、400、500があり、使い方によって定められる。
LOD100:対象物を記号や線など単純な形状で示したモデル
LOD200:対象物の構造形式が分かる程度
LOD300:対象物の構造に加え、付帯工等の外形形状を正確に表現したモデル
LOD350:LOD300のモデルにモデル要素を追加したモデル
LOD400:LOD300に加えて付帯工や接続物などの詳細構造や配筋も含めて表現
LOD500:対象物の現実の形状を表現したモデル
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